原発性シェーグレン症候群に対する免疫抑制薬ヒドロキシクロロキン(国内未承認)の投与について、24週時点の症状改善効果は認められなかったことが判明した。フランス・ストラスブール大学病院のJacques-Eric Gottenberg氏らが、120例の患者を対象に行った無作為化二重盲検プラセボ対照並行群間比較試験の結果、明らかになった。ヒドロキシクロロキンは日本では未承認であるが、海外では同症候群に対して最も多く処方されている。しかし、その有効性に関するエビデンスは限定的なものしか報告されていなかった。なお今回の結果について著者は、「さらなる試験を行い長期のアウトカム評価が必要である」としている。JAMA誌2014年7月16日号掲載の報告より。
ヒドロキシクロロキン400mg/日を投与、症状改善をスケールで評価
Gottenberg氏らは、2008年4月~2011年5月にかけてフランス15ヵ所の大学病院を通じ、AECG(American-European consensus group)基準で診断された原発性シェーグレン症候群の患者120例を試験に登録した。被験者を無作為に2群に分け、一方の群にはヒドロキシクロロキン400mg/日を、もう一方にはプラセボを、それぞれ0~24週まで投与し、続く24~48週は被験者全員にヒドロキシクロロキン400mg/日を投与した。
ベースライン時、12週、24週、48週の時点で評価を行い、主要エンドポイントは、0~24週の、乾燥、疼痛、疲労の3症状の数値評価スケール(スコア0[最良]~10[最悪]で評価)のうち2症状のスコアが30%以上改善した場合とした。最終評価日は、2012年5月15日だった。
24週の主要エンドポイント達成率、両群で有意差なし
結果、24週時点で主要エンドポイントを達成したのは、ヒドロキシクロロキン群56例中10例(17.9%)、プラセボ群64例中11例(17.2%)であり、両群間に有意差はなかった(オッズ比:1.01、95%信頼区間[CI]:0.37~2.78、p=0.98)。
また0~24週の乾燥、疼痛、疲労の各スコア変化の平均値(SD)についても、両群間の差は有意ではなかった。乾燥スコアの変化SD両群差は0.23(p=0.55)、疼痛スコアについては-0.71(p=0.06)で、疲労スコアについては0.25(p=0.54)だった。
なお、1例を除くヒドロキシクロロキン群の全被験者で、血中にヒドロキシクロロキンが検出された。
ヒドロキシクロロキンの投与は、抗SSA抗体、IgG高値または全身性に症状を有する患者についての効果はみられず、0~24週で報告された重大有害事象は、ヒドロキシクロロキン群2件、プラセボ群3件、24~48週ではそれぞれ3件、4件だった。
(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)