下肢静脈瘤の治療法について、フォーム硬化療法、レーザーアブレーションを、外科手術と比較した結果、疾病特異的QOLがフォーム硬化療法でわずかに劣っていたほかは、QOLアウトカムはいずれも同等だった。合併症リスクはレーザーアブレーションが外科手術より低く、伏在静脈主幹部のアブレーション成功率はフォーム硬化療法が外科手術より低かった。英国・アバディーン大学医学部のJulie Brittenden氏らが、下肢静脈瘤患者798例を対象に行った多施設共同無作為化試験の結果、示された。下肢静脈瘤治療として、フォーム硬化療法とレーザーアブレーションは外科手術の代替法として広く行われている。しかし、その有効性や安全性の比較はこれまで行われていなかったという。NEJM誌2014年9月25日号掲載の報告より。
6ヵ月後の疾病特異・総合的QOLを評価
研究グループは、英国内11ヵ所の医療機関を通じて、下肢静脈瘤の患者798例を対象に無作為化試験を行い、フォーム硬化療法、レーザーアブレーション、外科手術のアウトカムを比較した。
主要評価項目は、6ヵ月後の疾病特異的QOLと総合的QOLで、それぞれ複数の尺度(EQ-5DやSF-36など)を用いて評価を行った。副次評価項目は、合併症と臨床的成功に関する評価だった。
合併症率はレーザーアブレーション群1%で、外科手術群7%より低率
その結果、ベースライン時スコアや共変数で補正後、疾病特異的QOLはレーザーアブレーションと外科手術では同等だった。一方でフォーム硬化療法は外科手術に比べ劣っていたが、その差はわずかだった(効果量:-1.74、95%信頼区間[CI]:-2.97~-0.50、p=0.006)。
総合的QOLについては、3群で有意差は認められなかった。
処置関連の合併症発生率は、レーザーアブレーション群で1%と、外科手術群の7%より有意に低率だった(p<0.001)。フォーム硬化療法群の同発生率は6%で、外科手術群と同等だった。
なお、重度有害事象の発生率は約3%であり、3群で同等だった。
臨床的成功に関する評価については3群で同等だったが、伏在静脈主幹部のアブレーション成功率については、フォーム硬化療法群が外科手術群より低かった(p<0.001)。
(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)