出生前コルチコステロイド反復投与の長期予後:ACTORDS研究グループ

提供元:ケアネット

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公開日:2007/10/03

 

 オーストラリアのアデレード大学Caroline A. Crowther氏らACTORDS(Australasian Collaborative Trial of Repeat Doses of Steroids)研究グループは以前、早期産のリスクを有する妊婦へのコルチコステロイド反復投与療法について無作為化対照臨床試験を行い、「新生児における呼吸窮迫症候群や重篤な疾患罹患リスクが減少した」と報告したが、この時のデータは本療法の長期予後に関しては有効ではなかったため、あらためて前向き臨床試験を実施した。NEJM誌9月20日号の報告から。

2歳時の感覚神経障害と体格を評価

 今回の試験では、コルチコステロイドの初期治療コースを7日間以上受けた妊婦に、コルチコステロイド(ベタメタゾン11.4mg:反復投与群)またはプラセボ(生理食塩水:単回投与群)の筋注がランダムに割り当てられた。妊娠期間が32週未満で早期産の危険がある妊婦には、毎週投与が繰り返された。

 評価は年齢調整後の2歳時点における重度感覚神経障害を伴わない生存率および体格。

注意力に問題あるも単回投与群と有意差なし

 2歳時点で生存していた1,085例の小児の内、1,047例(96.5%)が評価の対象となった(反復投与群521例、単回投与群526例)。

 重度障害を伴わない生存率は、反復投与群84.4%、単回投与群81.0%で同程度だった(補正相対危険度1.04、95%信頼区間:0.98-1.10、P = 0.20)。

 体格、血圧、保健サービスの利用度、呼吸器系疾患罹患率、また小児行動スコアのいずれも両群間に有意差は認められなかった。ただし注意力の面での問題が、反復投与群で単回投与群より一定の根拠をもって指摘された(P = 0.04)。

 これらの結果から研究グループは、出生前コルチコステロイドの反復投与を用いた早期産のおそれのある妊婦の管理は、前回試験で明らかになったように、新生児の罹患率を低下させるとともに、2歳時点においても重度の感覚神経障害または発育不良のどちらも伴わないと報告している。

(朝田哲明:医療ライター)