同量の炭水化物を含む食品でも血糖値の上昇度は異なり、この特性に基づく指標をグリセミック指数(GI)という。この特性を活かし食後血糖値の上昇が低い食品を選択した低GI食による介入を、心血管疾患や糖尿病のリスクが高い人に行ったが、高GI食と比べて、インスリン感受性、脂質値あるいは収縮期血圧値の改善には結び付かなかったことが、米国・ブリガム&ウィメンズ病院のFrank M. Sacks氏らが行った無作為化試験の結果、報告された。JAMA誌2014年12月17日号掲載の報告より。
過体重成人163例を対象に食事介入試験
検討は、クロスオーバー対照試験法にて、大学病院の研究部門で行われた。被験者は、30歳以上の過体重163例(収縮期血圧120~159mmHg)で、食事、スナック、カロリー飲料から成る次の4つの食事の介入を各5週間受け、少なくとも2つ以上の介入を完了した人であった。(1)高GI(ブドウ糖尺度で65%)・高糖質食(エネルギー量で58%)、(2)低GI(40%)・高糖質食、(3)高GI・低糖質食(エネルギー量40%)、(4)低GI・低糖質食。
被験者は2008年4月1日に登録開始され、最後の被験者が試験を終了したのは2010年12月22日であった。4つの食事介入を受け、少なくとも1つ以上の主要アウトカム評価に寄与した被験者は135~150例いた。
主要アウトカムは5つで、インスリン感受性(経口ブドウ糖負荷試験中の血糖値およびインスリン値のAUCから確定)、LDLコレステロール値、HDLコレステロール値、トリグリセライド、収縮期血圧であった。
インスリン感受性、脂質、収縮期血圧に影響はみられず
高糖質食群を受けた人の分析において、低GI食の介入を受けた人は高GI食の介入を受けた人と比べて、インスリン感受性は8.9単位から7.1単位に有意に低下(-20%、p=0.002)、LDL-C値は139mg/dLから147mg/dLに有意に増大(6%、p≦0.001)したが、HDL-C値、トリグリセライド、血圧に影響はみられなかった。
低糖質食群を受けた人の分析において、低GI食を受けた人は高GI食を受けた人に比べて、トリグリセライドが91 mg/dLから86mg/dL(-5%、p=0.02)であった以外は、アウトカムへの影響は認められなかった。
低GI・低糖質食は、高GI・高糖質食と比べて、インスリン感受性、収縮期血圧、LDL-C値、HDL-C値についての影響は認められなかった。トリグリセライドだけは111mg/dLから86mg/dLに低下した(-23%、p≦0.001)。
これらの結果を踏まえて著者は、「Dietary Approaches to Stop Hypertension(DASH)タイプのダイエットで、GI指数を用いて特定の食品を選んでも、心血管リスク因子やインスリン感受性には結び付かないようだ」とまとめている。