PCV13、高齢者市中肺炎にも有効/NEJM

提供元:ケアネット

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公開日:2015/04/06

 

 高齢者への13価肺炎球菌結合型ワクチン(PCV13)接種について、ワクチン型の肺炎球菌性、菌血症性、および非血症性の市中肺炎と、ワクチン型の侵襲性肺炎球菌感染症の予防に有効であることが明らかにされた。オランダ・ユトレヒト大学医療センターのM.J.M. Bonten氏らが、8万4,496例の65歳以上高齢者を対象に行った無作為化二重盲検プラセボ対照試験の結果、報告した。PCVワクチンは、新生児において肺炎球菌感染症の予防が認められているが、65歳以上高齢者の肺炎球菌性市中肺炎の有効性は明らかにされていなかった。試験の結果では、あらゆる原因による市中肺炎へのワクチンの有効性は示されなかったが、著者は「ワクチン型の市中肺炎が46%減少しており、高齢者の市中肺炎の減少に寄与すると思われる」とまとめている。NEJM誌2015年3月19日号掲載の報告より。

オランダ65歳以上8万4,496例を登録して無作為化二重盲検プラセボ対照試験
 試験は2008年9月15日~2010年1月30日にかけて、オランダ国内101地点で65歳以上高齢者を8万4,496例登録して行われた。被験者は1対1の割合で無作為に割り付けられ、4万2,240例がPCV13接種を、4万2,256例がプラセボの接種を受けた。追跡期間は中央値3.97年であった。

 PCV13の有効性について、ワクチン型肺炎球菌性市中肺炎、非菌血症性・非侵襲性肺炎球菌性市中肺炎、侵襲性肺炎球菌感染症(IPD)の初回エピソードの予防について評価した。市中肺炎とIPDの特定は、標準的なラボ検査と血清型に特異的な尿中抗原検出アッセイにより行った。

 追跡期間中に、肺炎またはIPDが疑われ試験協力病院を受診した人は、PCV13群1,552例、プラセボ群1,680例であった。このうち2,842例(88%)は、前年にインフルエンザワクチンの接種を受けていた。

ワクチン型株市中肺炎への有効率、per-protocol解析で45.6%
 ワクチン型株による感染症の初回エピソードのper-protocol解析の結果、市中肺炎発生は、PCV13群49例、プラセボ群90例でワクチンの有効率は45.6%(95.2%信頼区間[CI]:21.8~62.5%)であった。非菌血症性・非侵襲性市中肺炎は、PCV13群33例、プラセボ群60例でワクチン有効率は45.0%(同:14.2~65.3%)、侵襲性肺炎球菌感染症は PCV13群7例、プラセボ群28例でワクチン有効率は75.0%(95%CI:41.4~90.8%)だった。有効性は試験期間中、持続していた。

 修正intention-to-treat解析(安全性データを入手できなかった人を除外した8万4,492例)においても、ワクチン型株による感染症の初回エピソードに対するワクチン有効率は同程度であった(それぞれ37.7%、41.1%、75.8%)。

 一方、あらゆる原因(非肺炎球菌性と肺炎球菌性を含む)による市中肺炎の初回エピソード発生例は、PCV13群747例、プラセボ群787例で、ワクチン有効率は5.1%(95%CI:-5.1~14.2%)だった。

 重篤な有害事象と死亡は、両群で同程度であったが、PCV13群で局所反応が、より多く認められた。

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コメンテーター : 小金丸 博( こがねまる ひろし ) 氏

東京都健康長寿医療センター 感染症内科専門部長

J-CLEAR推薦コメンテーター