大手術後再入院患者、死亡リスクは?/Lancet

提供元:ケアネット

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公開日:2015/07/01

 

 大手術後の再入院について、手術を受けた病院へ再入院した患者の生存は、手術の種類を問わず改善していることが、米国・ユタ大学のBenjamin S Brooke氏らによる観察コホート研究の結果、明らかにされた。大手術後の再入院は一般的である。しかし、それら再入院患者のアウトカムが改善したのかどうか、受けたケアや、再入院先により違いはあるのかなどは不明であった。著者は、「今回の所見は、費用対効果の観点からの地域における手術施設の再編について重要な示唆を与えるものであった」と述べている。Lancet誌オンライン版2015年6月17日号掲載の報告より。

12の手術後再入院と90日死亡リスクを評価
 研究グループは、一般的な手術を受けた米国メディケア受給者における、再入院と死亡リスクとの関連を調べた。

 2001年1月1日~2011年11月15日の間の同受給者データを用いて、以下の手術後30日以内に、再入院が必要となった患者について評価した。腹部大動脈瘤修復術(開腹)、鼠径靱帯下動脈バイパス術、大動脈両側大腿バイパス術、冠動脈バイパス手術(CABG)、食道切除術、大腸切除術、膵切除術、胆嚢摘出術、腹壁ヘルニア修復術、開頭術、人工股関節置換術または膝置換術。

 inverse probability weighting(IPW)を組み込んだロジスティック回帰モデルと操作変数分析により、再入院[手術を受けた病院へ(同一病院) vs.手術を受けた病院以外へ(異なる病院)]と、手術を受け再入院が必要となった患者の90日死亡リスクとの関連を調べた。

同一病院へ再入院、90日死亡リスクは26ポイント有意に低い
 944万503例の患者が、12の大手術のうちの1つを受けていた。

 同一病院へ再入院または移送された患者の割合は、65.8%(CABG後に再入院となった患者)から83.2%(大腸切除後)の範囲にわたっていた。

 再入院は、再入院治療が薬剤ではなく手術手技関連の合併症に対するものであった場合は、異なる病院よりも同一病院に多い傾向がみられた(同一病院23% vs.異なる病院13%、p<0.0001)。

 同一病院への再入院のほうが、異なる病院への再入院と比べて、90日死亡リスクが26ポイント有意に低かった(IPWで選択バイアス調整オッズ比[OR]:0.74、95%信頼区間[CI]:0.66~0.83)。同一病院への再入院による死亡リスクの有意な低下は、すべての手術のIPWモデルにおいてみられ(p<0.0001)、最も患者への効果が大きかったのは、膵切除術後の再入院(OR:0.56、95%CI:0.45~0.69)、大動脈両側大腿バイパス術後の再入院(同:0.69、0.61~0.77)であった。

 また、地域内病院レベルのばらつきを考慮し、再入院率を用いて、同一病院への再入院の確率が高い患者と低い患者の比較検討を行った。その結果、前者の同一病院への入院確率の高い患者のほうが、後者の同確率の低い患者と比較して、死亡リスクが8ポイント低かった(OR:0.92、95%CI:0.91~0.94)。