上室頻拍の緊急治療法として推奨されるバルサルバ法について、施行時体位の修正により効果が改善することが示された。標準法では息こらえ時の体位は半臥位だが、修正法は息こらえ時に仰向け下肢挙上の姿勢に体位を変換するというもの(動画参照/Lancet)。英国・王立デヴォンエクセター病院NHS財団トラストのAndrew Appelboam氏らが無作為化試験を行い報告した。バルサルバ法は、上室頻拍時の国際的に推奨される緊急治療法だが、臨床における効果は乏しく(5~20%)、アデノシンなど他の治療を必要とし、患者が不快感を感じることも多いとされる。Lancet誌オンライン版2015年8月24日号掲載の報告より。
息こらえ時に仰向け下肢挙上に体位を変換
検討は、英国内の病院緊急治療部門で無作為化対照並行群間比較試験にて行われた。上室頻拍(心房細動、心房粗動は除外)を呈した成人受診患者を、バルサルバ法標準法群と修正法群に1対1の割合で無作為に割り付け評価した。両群には、40mmHg圧、15秒間の標準化した息こらえのバルサルバ法が実行された。
無作為化と層別化は中央施設で独立的に行われ、割り付けは、連続ナンバーを用いて不正対策を施した手法で実施。患者と治療担当医は割り付けについて、マスキングされなかった。
主要アウトカムは、介入後1分時点の洞調律回復とし、治療担当医の心電図による確認と、治療割り付けをマスクされた研究者による確認とした。
介入後1分時点の洞調律回復、修正法群は3.7倍
2013年1月11日~2014年12月29日に433例が登録され、受診が2度目であった5例を除外した428例(各群214例)がintention-to-treat解析に含まれた。
主要アウトカムが認められた患者は、標準法群37/214例(17%)に対し、修正法群は93/214例(43%)であった。補正後オッズ比は3.7(95%信頼区間[CI]:2.3~5.8、p<0.0001)であった。
重篤な有害事象は報告されなかった。
著者は、「この修正バルサルバ法をルーティンの初回治療とすべきであり、患者に教えることも可能である」とまとめている。