ほとんど体を動かさない高齢者(sedentary older adults)を対象に、24ヵ月にわたる適度な運動プログラム介入 vs.健康教育プログラム介入を比較した結果、総合/特定領域認知機能の改善について有意な差はみられなかったことが示された。Kaycee M. Sink氏らが1,635例を対象に行った無作為化試験LIFEの結果、報告した。JAMA誌2015年8月25日号掲載の報告より。
70~89歳高齢者1,635例を対象に24ヵ月間の介入効果を比較
LIFE(Lifestyle Interventions and Independence for Elders)試験は、2010年2月~2011年12月に米国内8施設で、1,635例を登録して行われた。被験者は、70~89歳の椅子に座っていることの多い生活を送る高齢者で、運動機能障害のリスクを有している(Short Physical Performance Batteryスコア[12ポイント]が9ポイント以下)が、400m歩行(15分以内)は可能であった。
被験者は、体系化した適度な身体活動(ウオーキング、筋肉トレーニング、柔軟体操など)プログラムの介入、もしくは健康教育(研修会と上肢ストレッチ)プログラムの介入を受けた。
LIFE試験では、認知機能のアウトカムは副次アウトカムとして規定され、Wechsler Adult Intelligence Scale(スコア範囲:0~133、高スコアほど機能良好を示す)のDigit Symbol Coding(DSC)タスクサブセット、および修正Hopkins Verbal Learning Test(HVLT-R、12単語リストの想起タスク)による評価が、被験者1,476例(90.3%)で行われた。また、3次アウトカムとして、24ヵ月時点の総合認知機能および実行認知機能、軽度認知障害(MCI)または認知症の発生などが含まれた。
認知機能の改善、両群で差はみられず
24ヵ月時点で、DSCタスク/HVLT-Rスコア(施設、性別、ベースライン値で補正)について、群間差はみられなかった。
平均DSCタスクスコアは、運動介入群46.26ポイント vs.健康教育介入群46.28ポイント(平均差:-0.01ポイント、95%信頼区間[CI]:-0.80~0.77ポイント、p=0.97)であった。
平均HVLT-R遅延想起スコア(単語数)は、運動介入群7.22単語 vs.健康教育介入群7.25単語(同:-0.03単語、-0.29~0.24単語、p=0.84)であった。
その他のあらゆる認知機能評価および複合評価についても、差はみられなかった。
運動介入群で80歳以上の被験者(307例)、ベースラインの活動体力がより脆弱であった被験者(328例)は、健康教育介入群と比較した実行認知機能複合スコアの変化が有意に良好であった(両群間比較の相互作用p=0.01)。
MCIまたは認知症が認められたのは、運動介入群98例(13.2%)、健康教育介入群91例(12.1%)であった(オッズ比:1.08、95%CI:0.80~1.46)。