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食事性Caを増やしても骨折予防せず/BMJ

提供元:ケアネット

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公開日:2015/10/16

 

 食事性のカルシウム摂取増量が骨折を予防するとの臨床試験エビデンスはなく、食事性カルシウム摂取と骨折リスクは関連が認められないとの見解を、ニュージーランド・オークランド大学のMark J Bolland氏らが、システマティックレビューの結果、報告した。また、カルシウムサプリメントの骨折予防もエビデンスは弱く、一貫性がみられないと報告している。高齢男女には骨折予防として、1日少なくとも1,000~1,200mgのカルシウム摂取が推奨されている。多くの人がこの推奨達成のためにカルシウムサプリメントを服用しているが、最近の試験で、カルシウムサプリメント摂取の安全性に関する懸念が持ち上がった。そこで専門家はサプリメントではなく食事性のカルシウム摂取増量を奨励するようになったが、食事性カルシウム摂取増量の骨折予防効果については明らかになっていなかった。BMJ誌オンライン版2015年9月29日号掲載の報告。

食事性またはサプリメントによるカルシウム摂取の骨折への影響についてレビュー
 研究グループは、骨折予防を目的とした食事性またはサプリメントによるカルシウム摂取の増量推奨のエビデンスを調べるため、システマティックレビューによる検討を行った。

 Ovid Medline、Embase、PubMedおよび関連するシステマティックレビューの引用をデータソースとし、2013年7月に最初の検索を行い、2014年9月にアップデートを行った。

 被験者が50歳以上、食事性カルシウム、牛乳または乳製品摂取、もしくはカルシウムサプリメント(ビタミンD含有を問わない)と骨折をアウトカムとして検討していた無作為化対照試験またはコホート研究を適格とした。

食事性カルシウムの摂取、大半の試験で骨折との関連なしと報告
 結果、適格条件を満たした食事性カルシウムの無作為化対照試験は2件(262例)のみであった。コホート試験は44件、食事性カルシウム(37件)、牛乳(14件)、乳製品(8件)と骨折アウトカムに関して50本の報告があった。

 食事性カルシウムについて、ほとんどの試験が、骨折との関連は認められないと報告していた(全骨折については14/22件が報告、股関節骨折に関しては17/21件、脊椎骨折7/8件、前腕骨折5/7件)。また、牛乳(25/28件)、乳製品(11/13件)に関しても、大半の試験が骨折との関連性はないと報告していた。

 カルシウムサプリメント摂取と骨折リスクを検討していた無作為化対照試験は26件あった。その中で、カルシウムサプリメントは、全骨折(試験数20件・5万8,573例、相対リスク:0.89、95%信頼区間:0.81~0.96)、脊椎骨折(12件・4万8,967例、0.86、0.74~1.00)のリスクを低減するが、股関節骨折(13件・5万6,648例、0.95、0.76~1.18)、前腕骨折(8件・5万1,775例、0.96、0.85~1.09)のリスクは低減しないことが示唆されていた。また、Funnel plot法およびEgger’s回帰法で、発表データにはカルシウムサプリメントへのバイアスが認められたが、バイアスリスクの低い無作為化試験(4件・4万4,505例)の分析でも、骨折リスクへの影響は示されなかった。

 同様の結果は、カルシウム単独療法とカルシウム+ビタミンD併用療法の比較試験でもみられた。なお、施設介護を受け食事性カルシウム摂取が低量の虚弱な高齢女性を対象とした試験1件においてのみ、骨折リスクの有意な低下が示された。

(武藤まき:医療ライター)