肺または消化管原発の進行性神経内分泌腫瘍に対しエベロリムス(商品名:アフィニトール)を投与することで、病勢進行/死亡リスクは半減し、無増悪生存を有意に改善することが示された。安全性に関する所見は、エベロリムスにみられる既知の副作用だった。米国・テキサス州立大学MDアンダーソンがんセンターのJames C. Yao氏らが行った第III相の無作為化プラセボ対照二重盲検試験「RADIANT-4」の結果、報告した。肺または消化管原発の高分化型進行性神経内分泌腫瘍患者への効果的な全身療法はなかったが、今回の結果を踏まえて著者は「エベロリムスが同疾患に対する初となる標的薬剤である」とまとめている。Lancet誌オンライン版2015年12月15日号掲載の報告。
無増悪生存期間について画像中央判定
試験は2012年4月3日~13年8月23日にかけて、25ヵ国、97ヵ所の医療施設を通じ、肺または消化管の高分化型進行性神経内分泌腫瘍の患者302例を登録して行われた。
被験者を無作為に2対1に分け、205例にエベロリムス10mg/日を、97例にプラセボを投与し、いずれにも併せて最適な支持療法を行った。被験者は、腫瘍の原発部位、全身状態、ソマトスタチンアナログ製剤治療歴により階層化した。
主要エンドポイントは、無増悪生存期間(PFS)で、画像中央判定で評価した。キー副次エンドポイントは、全生存期間(OS)だった。
PFS中央値、エベロリムス群11.0ヵ月、プラセボ群3.9ヵ月
結果、PFSの中央値は、プラセボ群が3.9ヵ月(95%信頼区間[CI]:3.6~7.4)だったのに対し、エベロリムス群は11.0ヵ月(同:9.2~13.3)だった。エベロリムス群は、病勢進行または死亡リスクが52%低減した(ハザード比:0.48、同:0.35~0.67、p<0.00001)。
なお、当初の計画通りに行った全死因死亡リスクに関する中間分析の結果、エベロリムス群の死亡ハザード比は0.64(95%CI:0.40~1.05)で、有意差は認められなかった(片側検定p=0.037)。
Grade3/4の有害事象の発生率は、口内炎がエベロリムス群で9%に対しプラセボ群で0%、下痢がそれぞれ7%と2%、感染症が7%と0%など、いずれも低率だった。
(医療ジャーナリスト 當麻 あづさ)