心房細動患者において、女性は男性に比べて全死因死亡リスクが約1.1倍、心血管死リスクは1.9倍、いずれも大きいという。英国・オックスフォード大学のConnor A. Emdin氏らが、30件のコホート試験について行ったメタ解析の結果、明らかにした。これまでの研究結果から、心血管疾患リスクについては、そのリスク因子である糖尿病や喫煙などについて、男女差があることは知られていた。BMJ誌オンライン版2016年1月19日号掲載の報告。
1966~2015年に発表の試験をメタ解析
研究グループは、MedlineとEmbase、および参照文献を用いて、1966~2015年に発表された試験結果についてシステマティック・レビューを行い、男女別の心房細動と全死因死亡率、心血管死亡率などとの関連を示したコホート試験を抽出した。
分析対象とした試験は、被験者の心房細動患者が50例以上、心房細動の認められない被験者も50例以上とした。
2人の独立レビュワーが試験特性、最大補正後の性特異的相対リスクを抽出。逆分散重み付けランダム効果モデルを用いたメタ解析を行い、性特異的相対リスクおよび率比をプール算出して評価した。
脳卒中リスクは女性が男性の約2倍、心イベントは約1.6倍
レビューにて、30試験(被験者総数437万1,714例)を特定した。心房細動と全死因死亡リスクとの関連は女性のほうが男性よりも高く、相対リスク比は1.12(95%信頼区間[CI]:1.07~1.17)だった。
また、脳卒中に関する同比は1.99(同:1.46~2.71)、心血管死亡は1.93(同:1.44~2.60)、心イベントは1.55(同:1.15~2.08)、心不全は1.16(1.07~1.27)だった。これらの結果は感度分析でも、同様な結果が得られた。
結果を踏まえて研究グループは、こうしたリスクの男女差の要因について、さらなる研究が必要だと述べている。
(医療ジャーナリスト 當麻 あづさ)