青年期BMIが50パーセンタイル以上において、成人での心血管疾患死のリスクが増大することが明らかにされた。BMIが50~74パーセンタイルの、いわゆる“許容範囲”と考えられている群でも同リスクの増加が認められ、95パーセンタイル以上群では5~24パーセンタイル群に比べて、心血管疾患死のリスクが3.5倍に増大したという。イスラエル・Sheba Medical CenterのGilad Twig氏らが、平均年齢17.3歳の青年男女230万人について約40年間追跡を行った試験で明らかにしたもので、NEJM誌オンライン版2016年4月13日号で発表した。
被験者の平均年齢は17.3歳
研究グループは、1967~2010年にイスラエルの青年男女230万人のBMIを測定した。そのうえで、米国疾病予防管理センターの年齢・性別ごとの100分位数に基づいてBMI値による被験者のグループ分けを行った(5未満、5~24、25~49、50~74、75~84、85~94、95以上の各パーセンタイル群)。被験者の平均年齢は17.3±0.4歳だった。
主要評価項目は、2011年半ばまでの冠動脈性心疾患死、脳卒中死、原因不明の突然死の各死亡数、またはそれら3カテゴリーの複合(総心血管疾患死)だった。
Cox比例ハザードモデルを用いてリスクを算出した。
BMI 95パーセンタイル以上の肥満群の冠動脈性心疾患死リスクは約5倍
結果、4,229万7,007人年に及ぶ追跡期間中の死亡者数は3万2,127例で、そのうち心血管疾患によるものは2,918例(9.1%)だった。うち1,497例は冠動脈性心疾患死、528例は脳卒中死、893例は突然死だった。
多変量解析の結果、心血管疾患死および全死因死亡のリスクは、BMIが50~74パーセンタイルの、いわゆる許容範囲と考えられているグループから段階的に上昇することが判明した。
具体的に、5~24パーセンタイル群を基準(1.00)とした時の、冠動脈性心血管死の補正(性別・年齢・出生年・社会人口学的特性・身長)後ハザード比は、25~49パーセンタイル群では1.11(p=0.23)、50~74群は1.49(p<0.001)、75~84群2.17(p<0.001)、85~94群3.02(p<0.001)、95以上群では4.9(95%信頼区間[CI]:3.9~6.1、p<0.001)であった。なお、95パーセンタイル群についてみると、脳卒中死は2.6(同:1.7~4.1、p<0.001)、突然死2.1(同:1.5~2.9、p<0.001)、総心血管疾患死は3.5(同:2.9~4.1、p<0.001)だった。
また追跡期間ごとにみると、95パーセンタイル群の心血管疾患死のハザード比は、追跡期間0~10年には2.0(同:1.1~3.9)だったが、追跡期間30~40年には4.1(同:3.1~5.4)に増大。両期間とも冠動脈性心疾患死のハザード比が一環して高値だった。
これらの所見は、感度解析でも同様に確認された。
著者は、「青年期の、許容範囲とされるBMI50~74パーセンタイル群でも、追跡40年間の間、心血管死および全死因死亡増大との関連が認められた。過体重と肥満は、成人における心血管死増大と強く関連していた」とまとめている。
(医療ジャーナリスト 當麻 あづさ)