2015年において、収縮期血圧(SBP)値が110~115mmHg以上の成人は世界で約35億人、140mmHg以上の成人は8億7,400万人に上ることを、米国・ワシントン大学のMohammad H.Forouzanfar氏らが、世界154ヵ国からの844試験を基に分析を行い明らかにした。SBP値が110~115mmHg以上の人の割合は、1990~2015年にかけて、10万人当たり約7万3,000人から約8万1,000人へと大幅に増加し、SBP高値に起因する虚血性心疾患や出血性脳卒中などの死亡率も増大したという。JAMA誌2017年1月10日号掲載の報告より。
SBP増加とその関連死などを検証
研究グループは、1980~2015年に発表された154ヵ国からの844試験(被験者総数869万人)を基に、時空間ガウス過程回帰法にて、1990~2015年の世界195ヵ国におけるSBP値の推定分布や、SBP値と死亡・障害の関連などについて検証した。
主要アウトカムは平均SBP値、疾患別死亡、SBP値(110~115mmHg以上、140mmHg以上)に関連した健康負担で、年齢、性別、国、調査年別に調べた。
主要分析には、SBP高値と関連することが明らかな死亡原因(虚血性心疾患、虚血性、出血性脳卒中など)が含まれた。
SBP上昇による死因の筆頭は虚血性心疾患、次いで出血性脳卒中
その結果、1990~2015年にかけてSBP値が110~115mmHg以上の人の割合は、10万人中7万3,119人(95%不確定区間[UI]:6万7,949~7万8,241)から8万1,373人(7万6,814~8万5,770)に増加した。また、140mmHg以上の人の割合は、10万人中1万7,307人(1万7,117~1万7,492)から2万526人(2万283~2万746)に増加した。
SBP値110~115mmHg以上における年間死亡率は、10万人中135.6人(95%UI:122.4~148.1)から145.2人(130.3~159.9)に増加し、140mmHg以上は同97.9人(87.5~108.1)から106.3人(94.6~118.1)に増加した。
SBP値が110~115mmHg以上により減少した障害調整生存年数(DALY)は、1990年の1億4,800万年(95%UI:1億3,400万~1億6,200万)から2015年の2億1,100万年(1億9,300万~2億3,100万)に、140mmHg以上では520万年(460万~570万)から780万年(700万~870万)に増加した。
SBP関連死亡で最も多かったのは、虚血性心疾患(490万人)で人口寄与割合は54.5%を占め、続いて出血性脳卒中(200万人)で58.3%、次いで虚血性脳卒中(150万人)で50.0%だった。
2015年のSBP値110~115mmHg以上と関連したDALYの50%超を、中国、インド、ロシア、インドネシア、米国で占めると推定された。
これらの結果を踏まえて著者は、「今回のサンプルベースの結果は、2015年において、約35億人の成人がSBP値110~115mmHg以上であり、8億7,400万人の成人が同140mmHg以上であると推定されることが示された」とまとめている。
(医療ジャーナリスト 當麻 あづさ)