スウェーデンでは1998~2014年にかけて、糖尿病患者の心血管イベント発生率が減少し、その減少率は糖尿病ではない人に比べ20~40%大きいことがわかった。致死的イベントも減少したが、その減少率については、1型糖尿病患者は糖尿病でない人と同等、2型糖尿病患者ではより小さかった。スウェーデン・ヨーテボリ大学のAidin Rawshani氏らが明らかにしたもので、NEJM誌2017年4月13日号で発表した。糖尿病患者の死亡や心血管イベントの過剰リスクについて、長期的傾向を調べた大規模な試験はなかった。
1型糖尿病患者約3万7,000例、2型糖尿病患者約45万7,000例を追跡
研究グループは、1998~2012年にスウェーデン全国糖尿病患者レジストリに登録された1型糖尿病患者3万6,869例と、2型糖尿病患者45万7,473例について、2014年まで追跡した。
Cox回帰分析と標準化発生率から、死亡や心血管イベント発生についての動向を推定した。すべての被験者について、年齢や性別、居住県(county)をマッチングした対照群と比較した。
心血管イベント発生の減少率、対照群より1型で40%、2型で20%大
その結果、追跡期間中の1型糖尿病患者の全死因死亡率の絶対変化は、1万人年当たり-31.4(95%信頼区間[CI]:-56.1~-6.7)、心血管疾患死は-26.0(-42.6~-9.4)、冠動脈性心疾患死は-21.7(-37.1~-6.4)、心血管疾患による入院は-45.7(-71.4~-20.1)だった。
2型糖尿病患者の絶対変化は、同様に全死因死亡率が-69.6(95%CI:-95.9~-43.2)、心血管疾患死は-110.0(-128.9~-91.1)、冠動脈性心疾患死は-91.9(-108.9~-75.0)、心血管疾患による入院は-203.6(-230.9~-176.3)だった。
追跡期間中の心血管イベント発生の減少率は、対照群と比較して1型糖尿病患者では約40%大きく、2型糖尿病患者では約20%大きかった。
また、致死的イベントの減少率については、1型糖尿病患者は対照群と同程度だったが、2型糖尿病患者は対照群よりも小さかった。
(医療ジャーナリスト 當麻 あづさ)