潰瘍性大腸炎への抗MAdCAM-1抗体、有効量を確認/Lancet

提供元:ケアネット

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公開日:2017/06/01

 

 従来療法に不耐容の中等症~重症の活動期潰瘍性大腸炎患者に対し、開発中の、粘膜アドレシン細胞接着分子1(MAdCAM-1)を標的とする完全ヒトモノクローナル抗体PF-00547659(抗MAdCAM-1抗体)を投与することで、プラセボと比べ寛解導入が有意に良好であったことが報告された。また、安全性、忍容性も確認された。ベルギー・ルーヴェン・カトリック大学のSeverine Vermeire氏らが、357例の患者を対象に行った第II相の無作為化プラセボ対照二重盲検試験の結果として、Lancet誌オンライン版2017年5月17日号で発表した。この結果を受けて同研究グループは現在、より大規模な第III相臨床試験を進行中である。

抗TNFα治療歴で層別化し、抗MAdCAM-1抗体4種の用量を投与

 研究グループは2012年11月2日~2016年2月4日にかけて、21ヵ国105ヵ所の医療施設を通じ、肛門縁から15cm超までに病変部が拡張している活動期潰瘍性大腸炎患者で、少なくとも1つの従来療法の効果が不十分または忍容性が不良の357例を対象に試験を行った。被験者の年齢は18~65歳で、総メイヨースコアは6以上、メイヨー内視鏡所見サブスコアは2以上だった。

 被験者を抗TNFα治療歴の有無によって層別化し、無作為に5群に分け、抗MAdCAM-1抗体7.5mg(71例)、22.5mg(72例)、75mg(71例)、225mg(70例)、またはプラセボ(73例)を、ベースライン時と4週後にそれぞれ皮下注投与した。

 主要エンドポイントは、12週後の寛解(総メイヨースコア2以下、1超の個別サブスコアなし、直腸出血サブスコア1以下)を達成した患者の割合とした。

 有効性解析は、無作為化治療を1回以上受けた全患者を包含して行った。また安全性解析は、割り付け治療ごとに行った。すべてのp値は片側に多変量調整して算出した。

抗MAdCAM-1抗体の22.5mg群、75mg群で最も有効

 12週後の寛解率は、抗MAdCAM-1抗体群のうち投与量の少ないほうから3用量群でプラセボ群より有意に高率だった。プラセボ群の寛解率は2.7%に対し、7.5mg群は11.3%(プラセボ群とのリスク差:8.0%、p=0.0425)、22.5mg群は16.7%(同:12.8%ポイント、p=0.0099)、75mg群は15.5%(同:11.8%、p=0.0119)と有意差が認められたが、225mg群は5.7%(同:2.6%、p=0.1803)であり、有意差は認められなかった。

 これらの寛解率は、抗TNFα治療歴の有無で補正後も同様の傾向が認められた。

 なお、抗MAdCAM-1抗体の安全性に関する疑わしい事象は認められなかった。

(医療ジャーナリスト 當麻 あづさ)

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コメンテーター : 上村 直実( うえむら なおみ ) 氏

国立国際医療研究センター国府台病院 名誉院長

東京医科大学 消化器内視鏡学講座 兼任教授

J-CLEAR評議員