健康的な生活で妊娠高血圧症候群後の高血圧リスク低下/BMJ

提供元:ケアネット

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公開日:2017/07/24

 

 女性の妊娠高血圧症候群(HDP)後の慢性高血圧症のリスクは、健康的な生活習慣を順守すれば明らかに低減することが可能であり、とくに健康的な体重の維持が重要であることが示された。米国・ブリガム&ウィメンズ病院のSimon Timpka氏らによる、看護師健康調査II(Nurses' Health Study II:NHS II)の観察研究の結果で、BMJ誌2017年7月12日号で発表された。これまでの研究で、HDP歴のある女性は慢性高血圧症や心血管疾患のリスクが高いことが示されている。一方で、一般集団において、健康的な生活習慣は慢性高血圧症を低減可能なことが示唆されていた。

リスクを低減する生活習慣因子を調査
 研究グループは、生活習慣のリスク因子と慢性高血圧症の関連をHDP歴別に調べ、さらに生活習慣因子別に、HDPから慢性高血圧症への進行の修正範囲について調べた。

 対象はNHS II(1991~2013年)に参加した、経産婦で妊娠に関するデータが得られた32~59歳の女性5万4,588例で、いずれも慢性高血圧症、脳卒中、心筋梗塞の既往歴はなかった。

 主要評価項目は、医師による診断または看護師被験者の自己申告に基づく慢性高血圧症。多変量Cox比例ハザードモデルを用いて、HDP歴別に、4つの生活習慣リスク因子(妊娠後BMI、身体活動度、高血圧予防[Dietary Approaches to Stop Hypertension:DASH]食の順守、食餌性ナトリウム/カリウム摂取量)と慢性高血圧症の関連を調べ、次に、各生活習慣因子とHDP既往の潜在的な修正効果(相互作用)を、過剰相対リスクを算出して調べた。

とくに健康的な体重の維持が重要
 ベースライン対象集団のうちHDP既往者は10%(5,520例)であった。追跡期間中の慢性高血圧症例は、68万9,988人年中1万3,971例であった。

 生活習慣因子のうち過体重または肥満だけが、慢性高血圧症のリスクとの関連が一貫して高かった。とくに、BMI高値も、HDP歴と関連する慢性高血圧症のリスクを増大した(全年齢層で相互作用による過剰相対リスクのp<0.01)。たとえばHDP既往の40~49歳で、肥満度1(BMI値30.0~34.9)の女性では、慢性高血圧症リスクの25%(95%信頼区間[CI]:12~37)が、潜在的に肥満の影響に起因しており、HDP既往女性に特異的なものであった。

 なお、身体活動度、DASH食、食餌性ナトリウム/カリウム摂取による、HDPと慢性高血圧症との関連への修正効果については、明白なエビデンスが示されなかった。

 著者はこれらの結果を踏まえて、「妊娠糖尿病を有した女性に関して、医師はとくにHDP歴のある女性が妊娠後に健康な体重を達成・維持できるように支援を行う必要がある」と述べている。