近位中大脳動脈または内頸動脈の閉塞を呈し、虚血は認めるが梗塞に至っていない組織領域を認める患者では、発症後6~16時間でも、標準的薬物療法単独よりも血管内治療(血栓除去術)を併施したほうが、良好な機能的アウトカムに結びつくことが示された。米国・スタンフォード大学脳卒中センターのGregory W. Albers氏らが「DEFUSE3試験」の結果を報告した。現行、血栓除去術は画像診断での適格性に基づき、発症後6時間以内の脳卒中患者への施術が推奨されている。NEJM誌オンライン版2018年1月24日号掲載の報告。
血栓除去術併用 vs.薬物療法単独、90日時点の機能的アウトカムを比較
DEFUSE3試験は、梗塞のない虚血脳組織が残存する患者への、発症後6~16時間の血栓除去術について検討した、多施設共同無作為化非盲検試験(アウトカムは盲検評価)で、2016年5月~2017年5月に米国内38施設で行われた。
対象患者は、近位中大脳動脈または内頸動脈の閉塞を呈し、CTやMRIの灌流画像診断で、初期梗塞容積70mL未満、虚血/梗塞容積比1.8以上を適格とし、血管内治療(血栓除去術)+標準的薬物療法(血管内治療群)、または標準的薬物療法のみ(薬物療法群)に無作為に割り付けられた。
主要アウトカムは、90日時点での修正Rankinスケールスコア(範囲:0~6、高スコアほど障害の程度が大きいことを示す)であった。
血栓除去術併用群でアウトカム改善が有意に良好
試験は、182例が血管内治療群92例、薬物療法群90例に無作為化を受けた後、中間解析で有効性が確認され早期終了となった。
血管内治療群は薬物療法群と比べて、90日時点での修正Rankinスケールでみた機能的アウトカムの改善が良好であった(オッズ比[OR]:2.77、p<0.001)。また、修正Rankinスケールスコアで0~2と定義した「機能的に自立」の患者の割合も高かった(45% vs.17%、リスク比:2.67、p<0.001)。
90日死亡率は、血管内治療群14%に対し、薬物療法群26%であった(p=0.05)。症候性頭蓋内出血(7% vs.4%、p=0.75)や、重篤な有害事象(43% vs.53%、p=0.18)については、両群間で有意差はみられなかった。
(ケアネット)