安定冠動脈疾患患者において、冠血流予備量比(fractional flow reserve:FFR)ガイドによるPCI戦略は薬物療法単独と比較し、5年間の複合エンドポイント(死亡、心筋梗塞、緊急血行再建術)の発生を有意に低下させた。ベルギー・アールスト心血管センターのPanagiotis Xaplanteris氏らが、無作為化非盲検試験FAME 2試験の5年追跡結果を報告した。血行動態的に著しい狭窄のない患者は、薬物療法のみでも長期転帰は良好であったという。NEJM誌オンライン版2018年5月22日号掲載の報告。
FFR≦0.80の安定冠動脈疾患患者約900例を対象に追跡試験
研究グループは、2010年5月15日~2012年1月15日に、欧州および北米の28施設において、冠動脈造影で50%以上の狭窄を認めた安定冠動脈疾患患者1,220例を登録した。すべての狭窄病変についてFFRを測定し、FFR≦0.80の患者888例を、PCI+薬物療法群と薬物療法単独群に1対1の割合で無作為に割り付けた。
主要評価項目は、死亡、心筋梗塞および緊急血行再建術の複合エンドポイントであった。
複合エンドポイントの発生:PCI+薬物療法群13.9%、薬物療法単独群27.0%
5年時点の複合エンドポイントの発生率は、PCI+薬物療法群が薬物療法単独群より有意に低かった(13.9% vs.27.0%、ハザード比[HR]:0.46、95%信頼区間[CI]:0.34~0.63、p<0.001)。この差は、緊急血行再建術によるものであった(6.3% vs21.1%、HR:0.27、95%CI:0.18~0.41)。死亡率はそれぞれ5.1%および5.2%(HR:0.98、95%CI:0.55~1.75)、心筋梗塞は8.1%、12.0%で(HR:0.66、95%CI:0.43~1.00)、両群間に有意差はなかった。
なお、複合エンドポイントの発生率はPCI+薬物療法群と登録コホート群とで差はなかった(それぞれ13.9%および15.7%、HR:0.88、95%CI:0.55~1.39)。また、CCS分類II~IVの狭心症の患者の割合は、3年時点ではPCI+薬物療法群が薬物療法単独群より有意に低かったが、5年時点ではPCI+薬物療法群が低かったものの有意差はみられなかった。
(ケアネット)