BRCA変異乳がんに対するtalazoparibの第III相試験/NEJM

提供元:ケアネット

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公開日:2018/08/24

 

 ポリ(ADP-リボース)ポリメラーゼ(PARP)阻害薬talazoparibは、標準化学療法と比較して、BRCA1/2遺伝子変異陽性進行乳がん患者の無増悪生存期間(PFS)を有意に延長した。患者報告アウトカムでも、talazoparibの優越性が示唆された。米国・テキサス州立大学MDアンダーソンがんセンターのJennifer K. Litton氏らが、第III相の無作為化非盲検試験(EMBRACA試験)の結果を報告した。talazoparibは第I相および第II相臨床試験において、BRCA1/2遺伝子変異陽性進行乳がんに対する抗腫瘍活性を示していた。NEJM誌オンライン版2018年8月15日号掲載の報告。

talazoparibと医師選択による標準単剤化学療法を比較
 EMBRACA試験は、2013年10月~2017年4月に、16ヵ国145施設で実施された。対象は、BRCA1/2遺伝子変異陽性の進行乳がん(切除不能局所進行乳がん、または転移のある乳がん)患者で、talazoparib(1mg/日)群もしくは医師選択による化学療法単剤(カペシタビン、エリブリン、ゲムシタビン、ビノレルビンのいずれか連続21日間投与)の標準治療群に2対1で割り付けられた。

 主要評価項目はPFSとし、盲検下の独立した中央判定によって評価された。有効性の解析はintention-to-treat集団で実施した。

talazoparibで無増悪生存期間が8.6ヵ月に延長
 計431例が無作為化され、287例がtalazoparib群に、144例が標準治療群に割り付けられた。PFS中央値は、talazoparib群で標準治療群より有意に延長した(8.6ヵ月vs.5.6ヵ月、疾患増悪または死亡のハザード比[HR]:0.54、95%信頼区間[CI]:0.41~0.71、層別log-rank検定のp<0.001)。全生存期間の中間解析では、死亡HR中央値は0.76(95%CI:0.55~1.06、p=0.11)であった。奏効率は、talazoparib群が標準治療群より高値であった(62.6% vs.27.2%、オッズ比:5.0、95%CI:2.9~8.8、p<0.001)。

 Grade3~4の血液学的有害事象(主に貧血)は、talazoparib群で55%、標準治療群で38%に発現し、Grade3の非血液学的有害事象の発現率は、それぞれ32%および38%であった。

 患者報告アウトカムではtalazoparibが良好であり、全般的なQOLと乳がん症状スケールのいずれもtalazoparib群で改善し、臨床的に意義のある悪化までの期間が有意に遅延することが認められた。

(医学ライター 吉尾 幸恵)

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コメンテーター : 矢形 寛( やがた ひろし ) 氏

埼玉医科大学 総合医療センター ブレストケア科 教授