急性胆嚢炎の高リスク患者において、腹腔鏡下胆嚢摘出は経皮的胆嚢ドレナージよりも優れているとの強いエビデンスが示された。これまで高リスク患者を対象に両手技を比較した無作為化試験は行われておらず、臨床的および経済的アウトカムについて明らかになっていなかった。オランダ・St. Antonius-HospitalのCharlotte S. Loozen氏らが、多施設共同無作為化試験を行った結果、腹腔鏡下胆嚢摘出は重大合併症(感染症、心肺合併症、再介入など)を軽減し、医療費コストも30%以上軽減することが示されたという。BMJ誌2018年10月8日号掲載の報告。
1年以内の死亡および重大合併症の発生を評価
研究グループは、2011年2月~2016年1月に、オランダ国内11病院で、急性胆嚢炎の高リスク患者において、腹腔鏡下胆嚢摘出が経皮的胆嚢ドレナージよりも優れているかどうかを試験した。
急性胆嚢炎で高リスク(APACHEIIスコアが7以上)の患者142例が、腹腔鏡下胆嚢摘出を受ける群(66例)、または経皮的胆嚢ドレナージを受ける群(68例)に無作為に割り付けられた。
主要評価項目は、1年以内の死亡および重大合併症の発生。重大合併症の発生は、1ヵ月以内の感染症および心肺合併症の発生、1年以内に発生した再介入の必要性(急性胆嚢炎に関連した外科的、放射線学的または内視鏡的介入)、1年以内の再発胆道疾患と定義した。
死亡率を除き、臨床的・経済的アウトカムともに胆嚢摘出群が有意に優れる
試験は、予定されていた中間解析ののち終了となった。
死亡率は、両群間で差はなかったが(胆嚢摘出群3% vs.ドレナージ群9%、p=0.27)、重大合併症の発生は、胆嚢摘出群8/66例(12%)、ドレナージ群44/68例(65%)で報告された(リスク比:0.19、95%信頼区間[CI]:0.10~0.37、p<0.001)。
再介入が必要となった患者は、胆嚢摘出群8/66例(12%)であったのに対し、ドレナージ群は45/68例(66%)で発生した(p<0.001)。ドレナージ群は、再発胆道疾患も有意に多く発生し(5% vs.53%、p<0.001)、入院期間中央値も長期にわたった(5日 vs.9日、p<0.001)。
(ケアネット)