高CVリスク肥満者の糖尿病発症をlorcaserinが抑制/Lancet

選択的セロトニン2C受容体作動薬lorcaserinは、過体重・肥満の前糖尿病患者において糖尿病の予防効果を発揮するとともに、糖尿病患者では細小血管合併症を抑制することが、米国・ブリガム&ウィメンズ病院のErin A. Bohula氏らが行った「CAMELLIA-TIMI 61試験」で示された。研究の成果は、Lancet誌オンライン版2018年10月4日号に掲載された。lorcaserinは、プロオピオメラノコルチンの産生を、視床下部で活性化することで食欲を制御する。米国では、長期的な体重管理において、食事療法や運動療法の補助療法として承認されている。
糖尿病、前糖尿病、正常血糖値に分け、プラセボと比較
本研究は、lorcaserinによる糖尿病の予防と寛解導入を評価する二重盲検プラセボ対照無作為化試験であり、8ヵ国473施設が参加した(Eisaiの助成による)。対象は、アテローム動脈硬化性心血管疾患、または複数の心血管リスクを有する過体重・肥満(BMI≧27)の患者であった。アテローム動脈硬化性心血管疾患患者は40歳以上とし、複数のリスク因子(糖尿病と他の1つ以上の心血管リスク因子)を有する患者は、男性は50歳以上、女性は55歳以上とした。
被験者は、lorcaserin(10mg、1日2回)またはプラセボを投与する群に無作為に割り付けられた。全例が、強化行動療法から成る標準化された体重管理プログラムへの参加を推奨された。
代謝に関する有効性のエンドポイントは、ベースライン時に前糖尿病(HbA1c:≧39mmol/mol[5.7%]~<48mmol/mol[6.5%]または空腹時血漿グルコース:5.6~6.9mmol/L[100~125mg/dL])の患者における2型糖尿病の発症までの期間とした。有効性の副次アウトカムは、非糖尿病の集団における2型糖尿病の発症、前糖尿病患者における正常血糖値の達成、糖尿病患者におけるHbA1cの変化であった。
2014年2月~2015年11月の期間に1万2,000例が登録された。両群に6,000例ずつが割り付けられ、中央値で3.3年(IQR:3.0~3.5)のフォローアップが行われた。ベースラインの内訳は、糖尿病が6,816例(56.8%)、前糖尿病が3,991例(33.3%)、正常血糖値が1,193例(9.9%)などであった。6つの群の年齢中央値は62~64歳、女性が26.8~40.7%含まれた。
体重が有意に減少、前糖尿病の糖尿病リスクが19%低減
ベースラインの平均体重は、糖尿病患者が107.6kg(SD 21.3)、前糖尿病患者は101.8kg(19.2)、正常血糖値の集団は97.8kg(17.0)であった。1年時の体重は、糖尿病患者ではlorcaserin群がプラセボ群よりも2.6kg(95%信頼区間[CI]:2.3~2.9)減少し、前糖尿病患者では2.8kg(2.5~3.2)、正常血糖値の集団では3.3kg(2.6~4.0)減少した(いずれもp<0.0001)。lorcaserin群はプラセボ群に比べ、前糖尿病患者における糖尿病リスクが19%有意に低減し(8.5 vs.10.3%、ハザード比[HR]:0.81、95%CI:0.66~0.99、p=0.038)、3年間で1件の糖尿病イベントの予防に要する治療必要数(NNT)は56件であった。同様に、非糖尿病患者の糖尿病リスクはlorcaserin群で23%低下した(6.7 vs.8.4%、0.77、0.63~0.94、p=0.012)。
lorcaserin群はプラセボ群に比し、前糖尿病患者における正常血糖値の達成率が高い傾向がみられたが、有意差は認めなかった(9.2 vs.7.6%、HR:1.20、0.97~1.49、p=0.093)。
HbA1cは、糖尿病患者ではベースラインの平均値の53mmol/mol(7.0%)から、lorcaserin群のほうがプラセボ群よりも有意に低下した(最小二乗平均の差:-0.33%、95%CI:-0.38~-0.29、p<0.0001)。前糖尿病患者(-0.09%、p<0.0001)、正常血糖値の集団(-0.08%、p<0.0001)においても、lorcaserin群で有意に改善した。
糖尿病患者における細小血管合併症(持続性微量アルブミン尿、糖尿病網膜症、糖尿病性神経障害の複合)の発症率は、lorcaserin群で21%有意に少なかった(10.1 vs.12.4%、HR:0.79、95%CI:0.69~0.92、p=0.0015)。
糖尿病患者では、重篤な合併症を伴う重症低血糖はまれであり、lorcaserin群で頻度が高い傾向がみられた(12件[0.4%]vs.4件[0.1%]、p=0.054)。
著者は、「これらの知見は、適度で継続的な体重減少は代謝に関する健康を改善する可能性があるとの見解を強化し、体重および代謝に関する健康の長期的管理の補助療法としてのlorcaserinの役割を支持するものである」としている。
(医学ライター 菅野 守)
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コメンテーター : 吉岡 成人( よしおか なりひと ) 氏
NTT東日本札幌病院 院長
J-CLEAR評議員