進行乳がんへのパルボシクリブ+フルベストラント、OSの結果/NEJM

提供元:ケアネット

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公開日:2018/11/01

 

 ホルモン受容体陽性、HER2陰性の進行乳がんで、内分泌療法に感受性の認められた患者に対し、CDK4/6阻害薬パルボシクリブ+フルベストラント投与は、フルベストラント投与のみに比べ、全生存期間(OS)を延長することが示された。ただし、群間の有意差は示されなかった。英国・Institute of Cancer ResearchのNicholas C. Turner氏らが、521例を対象に行った第III相無作為化比較試験の結果で、NEJM誌オンライン版2018年10月20日号で発表された。今回の報告は、同試験の事前規定の副次評価項目OSについての解析結果で、主要評価項目である無増悪生存期間(PFS)は延長したことがすでに報告されている(palbociclib、内分泌療法後に進行した乳がんのPFS延長/NEJM)。

内分泌療法への感受性や閉経前・後などの層別因子によるパルボシクリブの効果を検証

 試験は、ホルモン受容体陽性、HER2陰性の進行乳がん患者で、既治療の内分泌療法中に再発または進行が認められた患者521例を対象に行われた。

 被験者を無作為に2対1の2群に分け、一方にはパルボシクリブ+フルベストラントを、もう一方にはプラセボ+フルベストラントをそれぞれ投与した。

 OSについて解析し、事前に規定した層別因子である内分泌療法への感受性の有無、転移を有する内臓疾患の有無、閉経前・後に対するパルボシクリブの有効性、進行後の後続治療の有効性、および安全性について検証した。

パルボシクリブ群の内分泌療法に感受性ある患者のOS中央値は39.7ヵ月

 OS中央値は、パルボシクリブ群34.9ヵ月(95%信頼区間[CI]:28.8~40.0)、プラセボ群28.0ヵ月(同:23.6~34.6)だった(ハザード比[HR]:0.81、95%CI:0.64~1.03、p=0.09、絶対差:6.9ヵ月)。

 試験レジメン終了後のCDK4/6阻害薬治療は、プラセボ群の患者16%に対して行われた。

 既治療の内分泌療法に感受性の認められた410例において、OS中央値はパルボシクリブ群39.7ヵ月(95%CI:34.8~45.7)、プラセボ群29.7ヵ月(同:23.8~37.9)だった(HR:0.72、95%CI:0.55~0.94、絶対差:10.0ヵ月)。

 後続治療の期間中央値は、両群で同等だった。化学療法を受けるまでの期間中央値は、パルボシクリブ群17.6ヵ月、プラセボ群8.8ヵ月だった(HR:0.58、同:0.47~0.73、p<0.001)。

 パルボシクリブの新たな安全性に関する兆候は、追跡期間44.8ヵ月において観察されなかった。

(医療ジャーナリスト 當麻 あづさ)

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コメンテーター : 矢形 寛( やがた ひろし ) 氏

埼玉医科大学 総合医療センター ブレストケア科 教授