韓国の若年成人(20~39歳)において、米国心臓病学会(ACC)/米国心臓協会(AHA)が2017年に発表した高血圧ガイドライン(ACC/AHAガイドライン2017)の定義でステージ1・2の高血圧症者は、男女ともに正常血圧者と比較して、その後の心血管疾患(CVD)イベントリスクの増大と関連することが示された。韓国・ソウル大学校病院のJoung Sik Son氏らが、約249万例を中央値10年追跡して明らかにしたもので、ステージ1群の男性は1.25倍、女性は1.27倍高かったという。これまで、若年成人におけるACC/AHAガイドライン2017とその後のCVDリスクとの関連は検討されていなかった。JAMA誌2018年11月6日号掲載の報告。
ACC/AHAガイドライン2017により4群に分類
研究グループは、韓国国民健康保険サービスに加入する20~39歳で、2002~05年に測定した血圧値が得られた248万8,101例を対象に、2006年1月1日~2015年12月31日まで追跡し、40歳未満の時点における血圧値と、その後のCVDリスクについて評価した。
具体的には、ACC/AHAガイドライン2017に基づき、40歳未満の血圧測定値で被験者を、正常血圧(120/80mmHg未満)、正常高値(120~129/80mmHg未満)、ステージ1高血圧(130~139/80~89mmHg)、ステージ2高血圧(140/90mmHg以上)の4つに分類し、追跡評価した。
主要評価項目は、CVDによる2日以上の入院またはCVD死亡で定義した「CVD」。副次評価項目は、冠動脈疾患(CHD)、脳卒中だった。
ステージ1高血圧症、CVD、CHD、脳卒中リスクが男女ともに増大
被験者248万8,101例は、年齢中央値31歳(四分位範囲:27~36)、女性は78万9,870例(31.7%)だった。追跡期間中央値10年において、CVDイベントの発生件数は4万4,813件だった。
男女ともに、ベースラインでステージ1高血圧症群は、正常血圧群に比べ、CVDイベント、CHD、脳卒中のリスクがいずれも高かった。
男性では、CVDイベント発生率は、ステージ1群の215/10万人年に対し正常血圧群は164/10万人年(群間差:51/10万人年、補正後ハザード比[HR]:1.25、95%信頼区間[CI]:1.21~1.28)だった。またCHD発生率は、それぞれ134/10万人年、103/10万人年(群間差:31/10万人年、補正後HR:1.23、95%CI:1.19~1.27)、脳卒中発生率は、90/10万人年、67/10万人年(群間差:23/10万人年、補正後HR:1.30、95%CI:1.25~1.36)だった。
女性では、CVDイベント発生率は、ステージ1群の131/10万人年に対し正常血圧群は91/10万人年(群間差:40/10万人年、補正後HR:1.27、95%CI:1.21~1.34)だった。CHD発生率は、それぞれ56/10万人年、42/10万人年(群間差:14/10万人年、補正後HR:1.16、95%CI:1.08~1.25)、脳卒中発生率は、79/10万人年、51/10万人年(群間差:28/10万人年、補正後HR:1.37、95%CI:1.29~1.46)だった。
ステージ2群についても、同様にリスク増大が認められた。
(医療ジャーナリスト 當麻 あづさ)