膜性腎症へのリツキシマブ静脈内投与は、シクロスポリン経口投与に対して、12ヵ月(1年)時点の蛋白尿の完全寛解または部分寛解の導入について非劣性であることが示された。また、24ヵ月(2年)時点までの蛋白尿寛解の維持について優越性が示された。米国・メイヨークリニックのFernando C.Fervenza氏らが、130例を対象に行った無作為化比較試験の結果で、NEJM誌2019年7月4日号で発表した。膜性腎症にはB細胞異常が関与しており、リツキシマブによるB細胞除去は、同患者の蛋白尿の完全寛解・部分寛解の導入・維持について、シクロスポリン治療に対して非劣性となる可能性が示されていた。
24ヵ月時点の蛋白尿の完全寛解/部分寛解の複合アウトカムを評価
研究グループは、膜性腎症で24時間の蛋白尿が5g以上、定量クレアチニンクリアランス値が40mL/分/1.73m
2体表面積以上で、アンジオテンシン系阻害薬を3ヵ月以上投与されている患者130例を対象に、無作為化試験を行った。
被験者を無作為に2群に分け、一方にはリツキシマブを静脈内投与(1回1,000mgを14日間隔で計2回投与、部分奏効の場合は6ヵ月後に再投与)、もう一方の群にはシクロスポリンを経口投与し(開始用量3.5mg/kg体重/日を12ヵ月間)、24ヵ月間フォローアップした。
主要アウトカムは、24ヵ月時点での蛋白尿の完全寛解/部分寛解の複合だった。臨床検査値と安全性についても評価を行った。
完全寛解/部分寛解、リツキシマブ群60%、シクロスポリン群20%
12ヵ月時点で、完全寛解/部分寛解が認められたのは、リツキシマブ群65例中39例(60%)に対し、シクロスポリン群65例中34例(52%)だった(リスク差:8ポイント、95%信頼区間[CI]:-9~25、非劣性のp=0.004)。
24ヵ月の時点で完全寛解/部分寛解が認められたのは、リツキシマブ群39例(60%)、シクロスポリン群13例(20%)だった(リスク差:40ポイント、95%CI:25~55、非劣性・優越性ともp<0.001)。
寛解を認めた抗ホスホリパーゼA
2受容体(PLA2R)抗体陽性の被験者では、抗PLA2R自己抗体価の低下がリツキシマブ群でシクロスポリン群よりも速く、その程度も大きく持続期間も長かった。
重篤な有害事象の発現は、リツキシマブ群11例(17%)、シクロスポリン群20例(31%)で認められた(p=0.06)。
(ケアネット)