COPD増悪時のCRP検査、抗菌薬使用率を3割減/NEJM

提供元:ケアネット

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公開日:2019/07/18

 

 COPDの急性増悪でプライマリケア医の診察時に、C反応性蛋白(CRP)のポイントオブケア(臨床現場即時)検査を行い、その結果に基づく処方を行うことで、患者報告に基づく抗菌薬の使用率と医師から受け取る抗菌薬の処方率がいずれも低下することが示された。有害性は伴わなかった。英国・オックスフォード大学のChristopher C. Butler氏らが、653例の患者を対象に行った多施設共同非盲検無作為化比較試験の結果で、NEJM誌2019年7月11日号で発表された。

CRPポイントオブケア検査の結果に沿って治療
 研究グループは、プライマリケア診療録にCOPDとの診断記録があり、COPD急性増悪によりイングランドおよびウェールズの一般診療所86ヵ所のうちいずれか1ヵ所を受診した653例を対象に試験を行った。

 被験者は無作為に2群に分けられ、一方の群ではCRPポイントオブケア検査に基づく通常治療が行われた(CRPガイド群)。もう一方の群は同検査なしで通常のケアのみが行われた(通常ケア群)。

 主要評価項目は、無作為化後4週間以内のCOPD急性増悪に対する患者報告による抗菌薬の使用(優越性を示すための評価)と、無作為化後2週時点でのCOPD関連の健康状態(非劣性を示すための評価)とした。健康状態については、10項目からなる臨床COPD質問票(CCQ、スコア範囲:0[COPD健康状態が非常に良好]~6[COPD健康状態が極めて不良])で評価した。

医師による抗菌薬投与率も約3割減少
 抗菌薬を使用したと報告した患者は、通常ケア群(77.4%)よりもCRPガイド群(57.0%)のほうが少なかった(補正後オッズ比[OR]:0.31、95%信頼区間[CI]:0.20~0.47)。

 2週時点のCCQ合計点の補正後平均差は、-0.19点(両側90%CI:-0.33~-0.05)で、CRPガイド群がより良好であることが示された。

 初診時の臨床医による抗菌薬処方の決定は1例を除く全例で確認され、追跡当初4週間に抗菌薬の処方箋が交付された患者は96.9%であった。

 初診時に抗菌薬を処方された患者の割合は、通常ケア群(69.7%)よりもCRPガイド群(47.7%)で低率だった(群間差:22.0ポイント、補正後OR:0.31、95%CI:0.21~0.45)。追跡4週間に抗菌薬を処方された人の割合も、通常ケア群(79.7%)よりもCRPガイド群(59.1%)で低率だった(20.6ポイント、0.30、0.20~0.46)。

 なお、無作為化後4週間以内に通常ケア群で2例の死亡が報告されたが、研究者によって死因は試験とは無関係であるとみなされた。

(医療ジャーナリスト 當麻 あづさ)