成人期の体重変動が死亡リスクと関連/BMJ

提供元:ケアネット

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公開日:2019/10/28

 

 成人期を通じた肥満持続、成人初期から中期の体重増加、および成人中期から後期の体重減少は、いずれも死亡リスクの増加と関連することが、中国・華中科技大学のChen Chen氏らが米国のデータを用いて行った検討で示された。研究の成果は、BMJ誌2019年10月16日号に掲載された。高BMIの成人は早期死亡のリスクが高いが、成人初期から後期あるいは成人中期から後期の体重の変化と死亡リスクとの関連の科学的エビデンスは、必ずしも一貫していない。また、成人の中でも、とくに初期から中期までの体重変動と、全死因および原因別の死亡率との関連はほとんど知られていないという。

3つの期間のBMI変動パターンと死亡リスクの関連を評価
 研究グループは、成人期の体重の変動と死亡の関連を調査する目的で、前向きコホート研究を行った(中国国家重点研究開発プログラムの助成による)。

 解析には、米国の全国健康栄養調査(NHANES)の1988~94年および1999~2014年のデータを用いた。対象は、ベースラインで体重と身長の測定が行われた40歳以上の3万6,051例であり、成人初期(25歳)と成人中期(ベースラインの10年前)の体重のデータを収集した。

 BMI<25を低体重/正常体重、25.0~29.9を過体重、≧30.0を肥満とした。25歳時、ベースラインの10年前(平均年齢47歳)、ベースライン(平均年齢57歳)のBMIを算出し、3つの期間(25歳~ベースラインの10年前、25歳~ベースライン、ベースラインの10年前~ベースライン)のBMIの体重変動パターンを評価した。

 2つの時点のBMIにより、3つの期間を次の5つの変動パターンに分類した。「正常体重維持」(2時点ともBMI<25)、「最大限で過体重」(一方の時点のBMIが25.0~29.9で、もう一方が≧30.0でない)、「肥満から非肥満」(年齢が若い時点のBMIが≧30.0で、後に<30.0に低下)、「非肥満から肥満」(年齢が若い時点のBMIが<30.0で、後に≧30.0に増加)、「肥満持続」(2時点ともBMI≧30.0)。

 主要アウトカムは、ベースラインから2015年12月31日までの全死因および死因別の死亡とした。

成人初~後期に13.4kg、初~中期に8.8kg、中~後期に4.4kg増加
 平均体重は、25歳~ベースラインまでに13.4kg、25歳~ベースラインの10年前までに8.8kg増加し、ベースライン前の10年間で4.4kg増加した。また、25歳~ベースラインまでに、26.9%が非肥満から肥満へ移行し、この間の体重増加は平均28.2kgであったのに対し、肥満から非肥満へ移行したのは1.4%であり、この間に体重は平均18.6kg減少した。

 平均12.3年の追跡期間中に、1万500例(心疾患死2,287例、がん死2,316例を含む)が死亡した(35万8,980人年)。

 成人初期~中期では、「正常体重維持」群と比較して「非肥満から肥満」群は、全死因死亡のリスクが22%増加(ハザード比[HR]:1.22、95%信頼区間[CI]:1.11~1.33)、心疾患死のリスクは49%増加(1.49、1.21~1.83)した。この間に、「肥満から非肥満」群には死亡リスクと有意な関連は認めなかった。

 成人中期~後期では、「肥満から非肥満」群は全死因死亡のリスクが30%増加(HR:1.30、95%CI:1.16~1.45)、心疾患死のリスクは48%増加(1.48、1.14~1.92)したのに対し、「非肥満から肥満」群には死亡リスクと有意な関連はみられなかった。

 成人期を通じた「肥満持続」群は、3つの期間のいずれにおいても全死因死亡のリスクが有意に高く、HRは成人初期~中期が1.72(95%CI:1.52~1.95)、成人初期~後期が1.61(1.41~1.84)、成人中期~後期は1.20(1.09~1.32)であった。

 「最大限で過体重」群は、成人期を通じて死亡との関連はきわめてわずかか、まったくなかった。また、3つの期間のいずれの変動パターンにも、がん死との関連はなかった。

 著者は「これらの知見は、成人期を通じて正常体重を維持すること、とくに成人初期の体重増加の予防が、その後の早期死亡リスクの抑制において重要であることを示唆する」としている。

(医学ライター 菅野 守)

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