日焼けマシンに関する論文の大半は業界の資金提供を受けていないが、日焼けマシン業界と経済的関係が認められる論文は、日焼けマシンを支持する傾向が認められるという。米国・スタンフォード大学のLola Adekunle氏らが、日焼けマシン業界との経済的関係および日焼けマシンに関する論文の結論との関連性を検証したシステマティックレビューの結果を報告した。日焼けマシンに関する科学的論文で、危険性や有益性に注視したものはあるが、資金源と論文の結論との関連性については十分検証されていなかった。結果を踏まえて著者は、「公衆衛生専門家や研究者は、日焼けマシンに関するエビデンスを解釈する際、業界からの資金提供を考慮する必要がある」と提言している。BMJ誌2020年2月4日号掲載の報告。
日焼けマシンに関する論文691報について解析
研究グループは、PubMed、Embase、Web of Scienceのデータベースを用い、2019年2月15日までに発表された論文を検索した。論文の種類は問わず(原著、システマティックレビュー、総説、症例報告、論説、論評、短報はすべて適格)、日焼けマシンと健康について考察している論文を適格とした。基礎研究、日焼けマシンの普及状況のみを述べている論文、英語以外の論文および全文を入手できない論文は除外した。
解析に組み込まれた論文は691報で、このうち357報(51.7%)が経験的論文(例:オリジナル論文またはシステマティックレビュー)、334報(48.3%)が非経験的論文(例:論評[コメンタリー]、レター、論説[エディトリアル])であった。
資金提供がない論文は約9割が批判的、ある論文は約8割が支持
全体で、日焼けマシン業界との経済的関係が認められた論文は7.2%(50/691報)だった。日焼けマシンを支持する論文は10.7%(74/691報)、中立は3.9%(27/691報)で、85.4%(590/691報)は日焼けマシンに批判的であった。
日焼けマシン業界の資金提供を受けていない論文(620報)において、日焼けマシンを支持する論文は4.4%(27/620報)で、中立が3.5%(22/620報)であり、92.1%(571/620報)が批判的であった。
一方、日焼けマシン業界と経済的関係がある論文(50報)では、78%(39/50報)が日焼けマシンを支持し、中立は10%(5/50報)、批判的であったのは12%(6/50報)だった。
日焼けマシン企業からの支援は、日焼けマシンの支持と有意に関連していることが確認された(リスク比:14.3、95%信頼区間:10.0~20.4)。
なお、著者は研究の限界として、資金源が非公開の論文は解析に組み込まれていないこと、使用したデータベースが限られていたこと、英語の論文に限定していたことなどを挙げている。
(医学ライター 吉尾 幸恵)