未治療の症候性発作性心房細動患者に対し、クライオ(冷凍)バルーンによるカテーテルアブレーションによるカテーテルアブレーションは抗不整脈薬による治療に比べ、心房頻脈性不整脈の再発を有意に抑制することが、継続的な心調律モニタリングの評価によって示された。カナダ・バンクーバー総合病院のJason G. Andrade氏らが、303例を対象に行った無作為化比較試験の結果、明らかにした。心房細動患者に対するカテーテルアブレーションは、ガイドラインでは1回以上の抗不整脈薬治療後とすることが推奨されているが、アブレーションのほうが洞調律維持により有効である可能性が指摘されていた。NEJM誌オンライン版2020年11月16日号掲載の報告。
治療後1年時点の心房頻脈性不整脈の再発率を比較
研究グループは、未治療の症候性発作性心房細動患者303例を無作為に2群に分け、一方には冷凍バルーン・カテーテルアブレーションを実施、もう一方には抗不整脈薬を投与した。全被験者に植込み型心臓モニタリング機器を留置し、心房頻脈性不整脈を検出した。
追跡期間は12ヵ月だった。主要エンドポイントは、アブレーションまたは抗不整脈薬投与後91~365日における、心房頻脈性不整脈(心房細動、心房粗動、心房頻拍)の初回再発だった。副次エンドポイントは、症候性不整脈の無発症、心房細動による負荷、生活の質(QOL)などだった。
症候性の心房頻脈性不整脈、冷凍アブレーション群で半減
1年時点の心房頻脈性不整脈の再発は、アブレーション群66/154例(42.9%)、抗不整脈薬群101/149例(67.8%)だった(ハザード比[HR]:0.48、95%信頼区間[CI]:0.35~0.66、p<0.001)。
症候性の心房頻脈性不整脈の再発率は、アブレーション群11.0%、抗不整脈薬群26.2%だった(HR:0.39、95%CI:0.22~0.68)。心房細動の時間割合中央値は、アブレーション群0%(四分位範囲:0~0.08)、抗不整脈薬群0.13%(同:0~1.60)だった。
重篤な有害イベントの発生は、アブレーション群5例(3.2%)、抗不整脈薬群6例(4.0%)だった。
(医療ジャーナリスト 當麻 あづさ)