COVID-19ワクチンの対象集団、国や地域による違いは?/BMJ

提供元:ケアネット

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公開日:2020/12/25

 

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)ワクチン接種の対象集団の規模は、国や地域によって著しく異なっていることを、中国・復旦大学のWei Wang氏らが記述的研究で明らかにした。著者は、「国や地域レベルでの対象集団の分布は、ワクチンの優先順位や配分を公平かつ効率的に計画することの重要性を強調している」と述べたうえで、「各国は、地域の疫学、基礎となる公衆衛生、利用可能なワクチン量の予測、直接的または間接的な有益性をもたらすワクチン接種戦略の選択などに基づいて、さまざまな戦略と配分計画を評価すべきである」とまとめている。先行研究において、COVID-19ワクチンの公正な配分を保証する倫理的な枠組みについては説明がされている。そのうちの1つは、最適化アルゴリズムを用いて異なる目的に対する最適なワクチン配分戦略をモデル化しており、人口統計、職業または高リスク集団(エッセンシャルワーカーや既往歴のある人など)を対象としたワクチン接種プログラムに関する集団規模が必要と示されていた。BMJ誌2020年12月15日号掲載の報告。

WHO加盟国194ヵ国についてワクチンの対象集団の規模を調査

 研究グループは、世界保健機関(WHO)の加盟国194ヵ国について、各国の特性やワクチン接種の目的(必要不可欠な社会サービスの維持、COVID-19重症化の抑制、症候性感染症の減少、ウイルス感染の抑止)に基づいたCOVID-19ワクチン接種の対象集団の規模を評価した。

 規模の推定には、職業、年齢、COVID-19重症化リスク因子、ワクチンの受け入れ、世界的なワクチン生産量で層別化された人口規模に関する国別データを使用し、これらのデータは公式ウェブサイト、メディア、学術論文などの多面的な検索より入手した。

ワクチン接種の対象集団規模、目的や地域で大きく異なる

 COVID-19ワクチン接種対象集団の規模は、ワクチン接種の目的や地域ごとに著しく異なった。人口構造、基礎疾患の存在、エッセンシャルワーカーの人数が、地域や国レベルでの対象集団推定の大きな変動に関与した。

 とくに欧州は、エッセンシャルワーカー(6,300万人、8.9%)および基礎疾患を有する人(2万6,590万人、37.4%)の割合が最も高かった。これら2つのカテゴリーは、それぞれ社会機能の維持およびCOVID-19の重症化抑制に不可欠である。

 一方、東南アジアでは、健康成人(7万7,750万人、58.9%)の割合が最も高く、市中感染の抑制が重要な目的となることが示された。

 ワクチン忌避は、将来的なCOVID-19ワクチン接種プログラムに影響する可能性があるが、文献レビューに基づくと、世界の人口の68.4%(95%信頼区間[CI]:64.2~72.6%)がCOVID-19ワクチン接種を受ける意思があり、ワクチン接種を希望する成人集団は37億人(95%CI:32億~41億)と推定された。

(医学ライター 吉尾 幸恵)

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