過体重または肥満の成人に対し、20週間のセマグルチド皮下投与後、2.4mg/週を48週間継続投与した群はプラセボに切り替えた群と比べて、体重減少が維持されていたことが示された。米国・Washington Center for Weight Management and ResearchのDomenica Rubino氏らが、約800例を対象に行った68週間の第III相無作為化二重盲検試験「STEP 4試験」で明らかにした。過体重または肥満者へのGLP-1受容体作動薬セマグルチドの投与について、投与を継続した場合と中断した場合の影響については、これまで明らかになっていなかった。JAMA誌オンライン版2021年3月23日号掲載の報告。
10ヵ国73ヵ所の医療機関で試験
研究グループは2018年6月~2020年3月にかけて、10ヵ国73ヵ所の医療機関を通じて、BMI値30以上、または27以上で体重関連の併存疾患が1つ以上ある、非糖尿病成人を対象に試験を行った。
902例がrun-in期間中に週1回のセマグルチド皮下投与を受けた。20週間(16週は漸増投与、4週は維持投与)の実施後、803例(89.0%)が2対1の割合で無作為化され、2.4mg/週のセマグルチド継続投与(535例)またはプラセボへの切り替え投与(268例)を受け、体重減少効果などが検証された。両群ともに、専門家による毎月のカウンセリングを含む生活習慣への介入も行われた。
主要エンドポイントは、20週から68週の体重変化(%)だった。副次エンドポイントは、腹囲、収縮期血圧、身体機能(Short Form 36 Version 2 Health Survey, Acute Version[SF-36]を用いた評価)だった。
セマグルチド継続群、対プラセボ群で腹囲-9.7cm、収縮期血圧-3.9mmHg
803例(平均年齢46歳[SD 12]、女性79%、平均体重107.2kg[SD 22.7])のうち、787例(98.0%)が試験を完了し、治療を完遂したのは741例(92.3%)だった。
20~68週の体重変化率は、プラセボ群は6.9%増加したのに対し、セマグルチド継続群は7.9%減少した(群間差:-14.8%、95%信頼区間[CI]:-16.0~-13.5、p<0.001)。
また、セマグルチド継続群はプラセボ群に比べ、腹囲(群間差:-9.7cm[95%CI:-10.9~-8.5])、収縮期血圧(-3.9mmHg[-5.8~-2.0])、SF-36身体機能スコア(2.5[1.6~3.3])のいずれも改善が認められた(すべてのp<0.001)。
なお、胃腸関連イベントの発生が、プラセボ群26.1%だったのに対しセマグルチド継続群では49.1%に認められた。有害事象による投与中断率は、セマグルチド継続群2.4%、プラセボ群2.2%で同程度だった。
(医療ジャーナリスト 當麻 あづさ)