未治療の進行胃がん・胃食道接合部がんまたは食道腺がんの1次治療について、ニボルマブ+化学療法の併用療法は化学療法単独に対して、全生存(OS)期間および無増悪生存(PFS)期間を有意に延長し、許容可能な安全性プロファイルが示された。米国・スローン・ケタリング記念がんセンターのYelena Y. Janjigian氏らが、第III相国際多施設共同無作為化非盲検試験「CheckMate 649試験」の結果を報告した。進行または転移のあるHER2陰性の胃がんまたは胃食道接合部腺がんにおける、1次化学療法のOS期間中央値は1年未満である。CheckMate 649試験は、胃がん・胃食道接合部がん/食道腺がんの1次治療としての、抗PD-1阻害薬ベースの化学療法の評価を目的に行われた。本論はニボルマブ+化学療法vs.化学療法単独の有効性および安全性に関して初となる報告で、結果を踏まえて著者は、「ニボルマブ+化学療法は、これらの患者における1次治療の新たな標準治療である」とまとめている。Lancet誌オンライン版2021年6月4日号掲載の報告。
主要評価項目はPD-L1 CPS≧5の患者のOS、PFS
CheckMate 649試験は29ヵ国175病院・がんセンターから、18歳以上の未治療で切除不能でありHER2陰性の胃がん・胃食道接合部がんまたは食道腺がんの患者を登録して行われた。PD-L1の発現は問わなかった。
被験者はウェブシステム(ブロックサイズ6)を介して、非盲検下で無作為に1対1対1の割合で次の3群に割り付けられた。(1)ニボルマブ(360mg[3週ごと]または240mg[2週ごと])+化学療法(カペシタビン+オキサリプラチン[XELOX、3週ごと]またはロイコボリン+フルオロウラシル+オキサリプラチン[FOLFOX、2週ごと])、(2)ニボルマブ+イピリムマブ、(3)化学療法単独。
主要評価項目は、PD-L1 CPS≧5の患者における、ニボルマブ+化学療法の併用療法vs.化学療法単独のOSまたはPFSであった。
安全性の評価は、割り付け治療を少なくとも1回受けた全患者を対象とした。
OS、PFSを有意に延長、PD-L1 CPS≧1集団や全無作為化集団でも有益
2017年3月27日~2019年4月24日に、2,687例の患者が適格性の評価を受け、そのうち1,581例が無作為に治療に割り付けられた(ニボルマブ+化学療法群[789例、50%]、化学療法単独群[792例、50%])。OSに関する追跡期間中央値は、ニボルマブ+化学療法群13.1ヵ月(IQR:6.7~19.1)、化学療法単独群11.1ヵ月(5.8~16.1)であった。
最短追跡期間12.1ヵ月時点で、PD-L1 CPS≧5の患者において、ニボルマブ+化学療法群は化学療法単独群と比べて、OS(ハザード比[HR]:0.71、98.4%信頼区間[CI]:0.59~0.86、p<0.0001)およびPFS(HR:0.68、98%CI:0.56~0.81、p<0.0001)を有意に延長した。OS期間中央値は14.4ヵ月(95%CI:13.1~16.2)vs.11.1ヵ月(10.0~12.1)、PFS期間中央値は7.7ヵ月(7.0~9.2)vs.6.0ヵ月(5.6~6.9)であった。
また、PD-L1 CPS≧1の患者集団における解析でも、OSの有意な延長が示され(HR:0.77、99.3%CI:0.64~0.92、p<0.0001)、PFSにもベネフィットがあることが示された(HR:0.74、95%CI:0.65~0.85)。同様に全無作為化集団においても、OSの有意な延長が示され(HR:0.80、99.3%CI:0.68~0.94、p=0.0002)、PFSへのベネフィットも示された(HR:0.77、95%CI:0.68~0.87)。
治療を受けた全患者におけるGrade3/4の治療関連有害事象の発現は、ニボルマブ+化学療法群462/782例(59%)、化学療法単独群341/767例(44%)であった。最も頻度の高い全グレードの治療関連有害事象(25%以上)は、両群ともに悪心、下痢、末梢神経障害であった。
ニボルマブ+化学療法群16例(2%)の死亡、化学療法単独群4例(1%)の死亡が治療に関連していると見なされた。なお、新たな安全性シグナルは確認されなかった。
(ケアネット)