新型コロナウイルス感染症(COVID-19)ワクチンBNT162b2(Pfizer/BioNTech製)について、2回接種を5ヵ月以上前に完了した60歳以上の高齢者に対する3回目ブースター接種は、COVID-19感染および重症化リスクが大幅に低下することを、イスラエル・Weizmann Institute of ScienceのYinon M. Bar-On氏らが報告した。イスラエルでは2021年7月30日に、5ヵ月以上前にBNT162b2の2回接種を完了した60歳以上の高齢者への、3回目接種が承認されている。研究グループは、追加免疫のデータを収集するため3回目ブースター接種を行った同国約114万例の高齢者を対象に試験を行った。NEJM誌オンライン版2021年9月15日号掲載の報告。
ブースター接種後4~6日、12日以上経過の有効性も比較
研究グループは2021年7月30日~8月31日に、イスラエル保健省のデータベースを基に、60歳以上でBNT162b2の2回接種を5ヵ月以上前に完了した113万7,804例を対象に、3回目ブースター接種の予防効果を検証した。
主要解析では、COVID-19感染率と重症化率について、ブースター接種後12日以上経過者(ブースター群)と、ブースター非接種者(非ブースター群)を比較した。2次解析では、ブースター接種後4~6日群と、12日以上経過群について同発生率を比較した。
すべての解析は、交絡因子補正後Poisson回帰分析を用いて行った。
ブースター接種後12日以上群、4~6日群に比べ感染率5倍超低下
ブースター群のCOVID-19感染率は、非ブースター群に比べ11.3倍低かった(補正後率比:11.3、95%信頼区間[CI]:10.4~12.3)。重症率についても、ブースター群は非ブースター群に比べ、19.5倍低かった(補正後率比:19.5、95%CI:12.9~29.5)。
2次解析では、ブースター接種後12日以上経過群が、4~6日経過群に比べ、感染率は5.4倍低かった(率比:5.4、95%CI:4.8~6.1)。
(医療ジャーナリスト 當麻 あづさ)