STEMI患者 、COVID-19合併で院内死亡率上昇/JAMA

提供元:ケアネット

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公開日:2021/11/17

 

 ST上昇型心筋梗塞(STEMI)では、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の診断を受けた患者は、過去1年間にCOVID-19の診断を受けていない患者に比べ院内死亡率が有意に高く、死亡、脳卒中、心筋梗塞の複合アウトカムも不良であることが、米国・ブラウン大学Warren Alpert医学校のMarwan Saad氏らの検討で示された。研究の成果は、JAMA誌オンライン版2021年10月29日号に掲載された。

米国の後ろ向きコホート研究

 研究グループは、STEMI患者において、COVID-19の有無別の患者の特徴や治療、転帰の比較を目的とする後ろ向きコホート研究を行った。

 解析には、米国のVizient Clinical Databaseに登録された509施設のデータが用いられた。対象は、2019年1月1日~2020年12月31日の期間に、これらの施設に入院した院外または院内のSTEMI患者(18歳以上)であった。院外例は入院時にSTEMIが認められた患者、院内例は入院中にSTEMIを発症した患者と定義された。

 主要アウトカムは院内死亡とし、COVID-19の診断の有無で傾向マッチングを行った。

院内死亡率は院外群15.2% vs.11.2%、院内群78.5% vs.46.1%

 院外STEMI群は370施設の7万6,434例(マッチング後はCOVID-19群551例、非COVID-19群2,755例、51~74歳64.1%、男性70.3%)、院内STEMI群は353施設の4,015例(マッチング後はCOVID-19群252例、非COVID-19群756例、51~74歳58.3%、男性60.7%)が解析に含まれた。

 院外STEMI群の院内死亡率は、COVID-19群が15.2%と、非COVID-19群の11.2%と比較して有意に高かった(群間の絶対差:4.1%[95%信頼区間[CI]:1.1~7.0]、オッズ比[OR]:1.43[95%CI:1.1~1.86]、p=0.007)。また、院内STEMI群の院内死亡率は、COVID-19群が78.5%、非COVID-19群は46.1%であり、COVID-19の合併は院内STEMI患者の死亡率を上昇させた(群間の絶対差:32.4%[29.1~35.9]、OR:4.11[2.97~5.69]、p<0.001)。

 院外STEMI群では、死亡、脳卒中、心筋梗塞の複合アウトカム(COVID-19群18.0% vs.非COVID-19群13.2%、群間の絶対差:4.8%[95%CI:1.6~7.9]、p=0.003)および死亡と脳卒中の複合アウトカム(18.0% vs.13.1%、4.8%[1.7~8.0]、p=0.002)の発生率が、いずれもCOVID-19群で高かった。同様に、院内STEMI群でも、死亡、脳卒中、心筋梗塞の複合アウトカム(80.9% vs.50.9%、29.9%[26.7~33.2]、p<0.001)および死亡と脳卒中の複合アウトカム(80.9% vs.50.4%、30.5%[27.2~33.7]、p<0.001)の発生率は、いずれもCOVID-19群で高率だった。

 著者は、「STEMI患者では、COVID-19の合併が院内死亡率の上昇と有意に関連した」とまとめ、「これらの関連性の根底にある潜在的なメカニズムを理解するには、新たな研究を要する」としている。

(医学ライター 菅野 守)