急性アキレス腱断裂に対する手術治療(直視下または低侵襲手術)は、保存的治療との比較において、12ヵ月後のアウトカム改善について有意差が示されなかった。ノルウェー・オスロ大学病院のStale B. Myhrvold氏らが、500例超を対象に行った多施設共同無作為化比較試験の結果を報告した。NEJM誌2022年4月14日号掲載の報告。
12ヵ月後のAchilles' tendon Total Rupture Score変化を評価
研究グループは、4ヵ所の医療センターを通じて、急性アキレス腱断裂の診断を受けた18~60歳を対象に試験を行い、保存的治療、直視下手術、低侵襲手術の効果を比較した。
主要アウトカムは、12ヵ月時点のAchilles' tendon Total Rupture Score(ATRS、0~100でスコアが高いほど状態が良好)のベースラインからの変化だった。副次アウトカムは、再断裂発生率などだった。
ATRSは3群とも約15~17ポイント改善
被験者計554例が無作為化を受け、うち526例を対象に最終解析を行った。
ATRSの平均変化量は、保存的治療群が-17.0ポイント、直視下手術群が-16.0ポイント、低侵襲手術群が-14.7ポイントで、有意な差はなかった(p=0.57)。ペアワイズ比較法でも群間差は示されなかった。
身体能力と自己報告による身体機能の、ベースラインからの変化量も、3群で同等だった。
腱再断裂発生率は保存的治療群が6.2%と、直視下手術/低侵襲手術群の各0.6%より高率だった。神経損傷は、低侵襲手術群で9例(5.2%)、直視下手術群では5例(2.8%)、保存的治療群では1例(0.6%)だった。
(医療ジャーナリスト 當麻 あづさ)