糖尿病性末梢神経障害性疼痛(DPNP)に対する鎮痛効果は、アミトリプチリン+プレガバリン、プレガバリン+アミトリプチリン、デュロキセチン+プレガバリンで同等であり、単剤療法で効果不十分な場合に必要に応じて併用療法を行うことで、良好な忍容性と優れた鎮痛効果が得られることが、英国・シェフィールド大学のSolomon Tesfaye氏らが英国の13施設で実施した多施設共同無作為化二重盲検クロスオーバー試験「OPTION-DM試験」の結果、示された。DPNPに対しては、多くのガイドラインで初期治療としてアミトリプチリン、デュロキセチン、プレガバリン、ガバペンチンが推奨されているが、最適な薬剤あるいは併用すべきかについての比較検討はほとんど行われていなかった。OPTION-DM試験は、DPNP患者を対象とした過去最大かつ最長の直接比較のクロスオーバー試験であった。Lancet誌2022年8月27日号掲載の報告。
DPNP患者140例を対象に、DN4の7日間平均疼痛スコアを評価
OPTION-DM試験の対象は、改訂トロント臨床神経障害スコア(mTCNS)が5以上の遠位対称性多発神経障害、および神経障害性疼痛4項目質問票(DN4)で7日間の1日平均疼痛(NRS)スコア(範囲0~10)が4以上の神経障害性疼痛を3ヵ月以上有する18歳以上のDPNP患者である。施設で層別化したブロックサイズ6または12の置換ブロック法を用い、アミトリプチリン+プレガバリン(A-P)、プレガバリン+アミトリプチリン(P-A)、デュロキセチン+プレガバリン(D-P)の3つの治療法を各16週間、次の順序で投与する6通りの投与群に、1対1対1対1対1対1の割合で無作為に割り付けた。A-P→D-P→P-A、A-P→P-A→D-P、D-P→A-P→P-A、D-P→P-A→A-P、P-A→D-P→A-P、P-A→A-P→D-P。
3つの治療法はいずれも、第1治療期6週間、第2治療期10週間から成り、第1治療期は単剤療法(A-PではA、D-PではD、P-AではP)を行い、6週後に7日間平均NRSスコアが3未満の奏効例は第2治療期も単剤療法を継続し、非奏効例では第2治療期に併用療法を行った。各治療期は最初の2週間を用量漸増期として、アミトリプチリン25mg/日、デュロキセチン30mg/日、プレガバリン150mg/日から投与を開始し、1日最大耐量(アミトリプチリン75mg/日、デュロキセチン120mg/日、プレガバリン600mg/日)に向けて用量を漸増した。
主要評価項目は、各治療法の最終週(16週時)に測定された7日間平均NRSスコアの治療群間差であった。
2017年11月14日~2019年7月29日に252例がスクリーニングされ、140例が6通りの治療順に無作為に割り付けられた。
3つの治療法(A-P、P-A、D-P)で有効性に差はなし
無作為化された140例中、130例がいずれかの治療法を開始し(84例が少なくとも2つの治療法を完遂)、主要評価項目の解析対象となった。
16週時の7日間平均NRSスコア(平均±SD)はいずれも治療法も3.3±1.8であり、ベースライン(130例全体で6.6±1.5)から減少した。各治療法の平均差は、D-P vs.A-Pで-0.1(98.3%信頼区間[CI]:-0.5~0.3)、P-A vs.A-Pで-0.1(-0.5~0.3)、P-A vs.D-Pで0.0(-0.4~0.4)で、有意差は認められなかった。併用療法を受けた患者では、平均NRSスコアの減少が単剤療法を継続した患者より大きかった(1.0±1.3 vs.0.2±1.5)。
有害事象は、3つの治療法を比較すると(A-P vs.D-P vs.P-A)、P-Aではめまい(12% vs.16% vs.24%、p=0.036)、D-Pでは悪心(5% vs.23% vs.7%、p=0.0011)、A-Pでは口渇(32% vs.8% vs.17%、p=0.0003)の発現率が有意に高かった。
(ケアネット)