STEMIの治療開始までの時間と院内死亡率、直近4年で増加/JAMA

提供元:ケアネット

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公開日:2022/12/01

 

 米国・Lindner Center for Research and EducationのJames G. Jollis氏らが、2018~21年のST上昇型心筋梗塞(STEMI)患者11万例超を対象に行った横断研究の結果、治療開始までの時間(中央値)は2018年第2四半期86分、2021年第1四半期91分、院内死亡率はそれぞれ5.6%および8.7%で、いずれも統計学的に有意に増加していた。そのほか、来院形態にかかわらず、治療開始までの時間が目標を達成した場合に院内死亡率が低いなど、2018~21年の期間におけるSTEMI治療の経過と転帰に関する解析結果を報告している。JAMA誌2022年11月22日号掲載の報告。

STEMI患者約11万5千例について解析

 研究グループは、GWTG-CADレジストリに参加している648施設において、2018年第2四半期~2021年第3四半期の間に登録された急性冠症候群患者のうち、心電図でSTEMIまたはSTEMI同等の心電図波形を呈した患者を対象に、治療開始までの時間、院内死亡率、システム目標の順守(最初の医療従事者の接触[first medical contact:FMC]から、経皮的冠動脈インターベンション[PCI]施行施設への直接来院では90分以内、PCI非施行施設からの施設間搬送の場合は120分以内に、75%の患者を治療)について解析した。

 登録患者28万4,792例のうち解析対象は11万4,871例で、年齢中央値は63歳(四分位範囲[IQR]:54~72)、男性71%、女性29%であった。

治療開始までの時間目標達成で、院内死亡率が低い

 症状発現からPCIまでの時間中央値は、救急搬送症例集団で148分(IQR:111~226)、独歩来院症例集団で195分(IQR:127~349)、施設間搬送症例集団で240分(IQR:166~402)であった。

 補正後院内死亡率は、目標時間内に治療を受けた患者のほうが、目標時間を超えて治療された患者より低かった。

 すなわち、救急搬送症例集団での院内死亡率は、救急隊員による最初の評価から心臓カテーテル室起動までの時間≦20分の目標達成3.6% vs.非達成9.2%(補正後オッズ比[aOR]:0.54、95%信頼区間[CI]:0.48~0.60)、病院到着からPCI開始までの時間≦90分の目標達成3.3% vs.非達成12.1%(0.40、0.36~0.44)であり、独歩来院症例集団では病院到着からPCI開始までの時間≦90分の目標達成1.8% vs.非達成4.7%(0.47、0.40~0.55)、施設間搬送症例集団では最初の病院到着から出発までの時間<30分の目標達成2.9% vs.非達成6.4%(0.51、0.32~0.78)、最初の病院到着からPCI開始までの時間≦120分の目標達成4.3% vs.非達成14.2%(0.44、0.26~0.71)であった。

 来院形態にかかわらずほとんどの四半期でシステム目標を達成できておらず、施設間搬送症例では最初の病院到着から120分以内にPCIを受けた患者の割合は、わずか17%であった。

(ケアネット)

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コメンテーター : 野間 重孝( のま しげたか ) 氏

栃木県済生会宇都宮病院 院長

J-CLEAR評議員