複雑な冠動脈病変を有する患者において、血管内超音波(IVUS)または光干渉断層法(OCT)を用いた血管内イメージングガイド下の経皮的冠動脈インターベンション(PCI)は、血管造影ガイド下PCIと比較して、心臓死・標的血管関連心筋梗塞・臨床所見による標的血管血行再建術の複合イベントのリスクを低下させることが示された。韓国・成均館大学校医科大学のJoo Myung Lee氏らが、同国20施設で実施した医師主導の前向き無作為化非盲検試験「Randomized Controlled Trial of Intravascular Imaging Guidance versus Angiography-Guidance on Clinical Outcomes after Complex Percutaneous Coronary Intervention:RENOVATE-COMPLEX-PCI試験」の結果を報告した。複雑病変に対する血管内イメージングガイド下PCI後の臨床転帰に関するデータは、血管造影ガイド下PCIと比較して限られていた。NEJM誌オンライン版2023年3月5日号掲載の報告。
1,639例を対象に、心臓死・標的血管関連心筋梗塞・標的血管血行再建の複合を比較
研究グループは、2018年5月~2021年5月の期間に、複雑な冠動脈病変を有しPCIを実施予定の19歳以上の患者1,639例を、血管内イメージング(IVUSまたはOCT)ガイド下PCI群(血管内イメージング群1,092例)または血管造影ガイド下PCI群(造影群547例)に、2対1の割合で無作為に割り付けた。
複雑な冠動脈病変とは、Medina分類による真の分岐部病変(側枝径2.5mm以上)、慢性完全閉塞、非保護の左冠動脈主幹部病変、ステント長が38mm以上となる病変、多枝病変、3本以上のステント留置が要する病変、ステント内再狭窄病変、高度石灰化病変、入口部病変とした。また、血管内イメージング群において、IVUSかOCTかの選択は術者の自由裁量とした。
主要エンドポイントは、心臓死、標的血管に関連する心筋梗塞、臨床所見による標的血管血行再建術の複合とした。安全性も評価した。統計には、intention-to-treat解析が使用された。
血管内イメージングガイド下PCIで複合イベントリスクが36%低下
追跡調査期間中央値2.1年(四分位範囲1.4~3.0)において、主要エンドポイントのイベントの発生は、血管内イメージング群76例(累積発生率7.7%)、造影群60例(12.3%)に確認された(ハザード比[HR]:0.64、95%信頼区間[CI]:0.45~0.89、p=0.008)。
心臓死の発生は血管内イメージング群で16例(累積発生率1.7%)、造影群で17例(3.8%)、標的血管に関連する心筋梗塞はそれぞれ38例(3.7%)、30例(5.6%)、標的血管血行再建術は32例(3.4%)、25例(5.5%)であった。
手技に関連する安全性イベントの発生率に両群間で差はなかった。
(医学ライター 吉尾 幸恵)