複雑な冠動脈病変などに対する経皮的冠動脈インターベンション(PCI)について、光干渉断層撮影(OCT)ガイド下の施行は血管造影ガイド下の施行と比較し、最小ステント面積は大きかったが、2年時点での標的血管不全が発生した患者の割合については両群間で差はみられなかった。米国・Cardiovascular Research FoundationのZiad A Ali氏らが、国際多施設共同にて2,487例を対象に行った前向き無作為化単盲検試験の結果を報告した。OCTガイド下でPCIを施行した後の臨床アウトカムに関するデータは、血管造影ガイド下のPCIと比べて限定的だった。NEJM誌オンライン版2023年8月27日号の報告。
18ヵ国、80ヵ所の医療機関で無作為化試験
研究グループは、18ヵ国80ヵ所の医療機関を通じて、薬物治療中の糖尿病患者または複雑な冠動脈病変を有する患者を無作為に2群に割り付け、OCTガイド下PCIまたは血管造影ガイド下PCIを実施した。血管造影ガイド下PCIに割り付けられた患者にも、最終的には盲検下でOCTが行われた。
主要有効性エンドポイントは2つで、OCTで評価したPCI後の最小ステント面積と、2年後の標的血管不全(心疾患死亡、標的血管心筋梗塞、または虚血による標的血管血行再建術の複合イベントで定義)だった。安全性についても評価した。
2年以内の標的血管不全の発生、OCT群7.4%、血管造影群8.2%
被験者数は計2,487例で、OCTガイド下PCI(OCT群)1,233例、血管造影ガイド下PCI(血管造影群)1,254例だった。
PCI後の最小ステント面積は、OCT群5.72±2.04mm
2、血管造影群5.36±1.87mm
2(平均群間差:0.36mm
2、95%信頼区間[CI]:0.21~0.51、p<0.001)でOCT群が有意に大きかった。
2年以内の標的血管不全の発生は、OCT群88例、血管造影群99例で有意差はなかった(Kaplan-Meier法による推定値はそれぞれ7.4%および8.2%、ハザード比[HR]:0.90、95%CI:0.67~1.19、p=0.45)。
OCT関連有害事象は、OCT群1例、血管造影群2例で発生した。2年以内のステント血栓症は、OCT群6例(0.5%)、血管造影群17例(1.4%)で発生した。
(医療ジャーナリスト 當麻 あづさ)