eGFR低下とアルブミン尿、腎不全や心血管疾患と関連/JAMA

提供元:ケアネット

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公開日:2023/10/13

 

 CKD Prognosis Consortiumの114コホートからの個人データを対象としたメタ解析において、血清クレアチニン(Cr)値に基づく推定糸球体濾過量(eGFRcr)あるいは血清Cr値と血清シスタチンC値に基づくeGFR(eGFRcr-cys)の低下、および尿アルブミン/クレアチニン比(UACR)の上昇は、腎不全や心血管疾患、入院などを含む10の有害アウトカムの発生率上昇と関連していることが示された。米国・ニューヨーク大学のMorgan E. Grams氏らCKD Prognosis Consortiumの執筆グループが報告した。米国では成人の約14%が慢性腎臓病(CKD)(eGFR低下またはアルブミン尿)に罹患しているという。しかしながらeGFRの低さやアルブミン尿の重症度と有害アウトカムとの関連性については不明であった。JAMA誌2023年10月3日号掲載の報告。

CKD Prognosis Consortiumのコホートから約2,750万人のデータをメタ解析

 解析には、CKD Prognosis Consortiumの参加コホート(1980~2021年)から、2021 CKD Epidemiology Collaboration(CKD-EPI)式を用いたeGFRcrのデータがある114コホート2,750万3,140例、2021 CKD-EPI式によるeGFRcr-cysのデータがある20コホート72万736例、およびUACRのデータがある114コホート906万7,753例の個人データが集められ包含された。

 有害アウトカムの発生は、米国の診療報酬請求データベースであるOptumLabs Data Warehouse(OLDW)のデータを用いた。

 主要アウトカムは、全死因死亡、心血管死、腎代替療法を要する腎不全(慢性透析または腎移植)、あらゆる入院、脳卒中、心筋梗塞、心不全、急性腎障害、心房細動あるいは末梢動脈疾患とし、Cox比例ハザードモデルを用いて腎臓の測定値と有害アウトカムとの関連を各コホート内で解析し、ランダム効果メタ解析を用いて統合した。

eGFRcrまたはeGFRcr-cys低値、UACR高値で、10の有害アウトカムのリスクが上昇

 eGFRcr集団(平均[±SD]年齢54±17歳、女性51%、平均追跡期間4.8±3.3年)では、平均(±SD)eGFRは90±22mL/分/1.73m2、UACR中央値は11mg/g(四分位範囲[IQR]:8~16)であった。eGFRcr-cys集団(59±12歳、53%、10.8±4.1年)では、平均eGFRは88±22mL/分/1.73m2、UACR中央値は9mg/g(6~18)であった。

 eGFR(eGFRcrまたはeGFRcr-cys)の低さとUACRの高さは、CKDの最も低い重症度分類に属するものを含め、10項目の有害アウトカムの各リスク上昇とそれぞれ有意に関連していた。たとえば、UACR 10mg/g未満の患者では、eGFRcr 45~59mL/分/1.73m2の場合、eGFR 90~104mL/分/1.73m2と比較し入院率が有意に高かった(補正後ハザード比:1.3、95%信頼区間[CI]:1.2~1.3、1,000人年当たりのイベント件数161件vs.79件、過剰絶対リスク:22件/1,000人年[95%CI:19~25])。

 著者は研究の限界として、GFRのほかの推定式は包括的にテストされていないこと、組み込まれたコホート試験は異なる試験デザインやプロトコールを使用していることなどを挙げている。

(医学ライター 吉尾 幸恵)

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コメンテーター : 浦 信行( うら のぶゆき ) 氏

札幌西円山病院 名誉院長

J-CLEAR評議員