視神経脊髄炎(Neuromyelitis Optica、以下NMO)において、高頻度に発現する脳幹症状は嘔吐としゃっくりであり、これら脳幹症状の有病率が白人以外の人種で高かったことが、フランス・ストラスブール大学病院のL. Kremer氏らによって報告された。Multiple sclerosis誌オンライン版2013年10月7日掲載の報告。
NMOは、脊髄や視神経の病変を特徴とする中枢神経系の重篤な自己免疫疾患であり、近年、脳幹症状が出現することが報告されている。
本研究は、2006 Wingerchuk基準によりNMOと診断された258例を対象に行った前向き多施設共同研究である。目的は、NMOの患者群を人種や抗アクアポリン4抗体の血清学的状態に分け、脳幹症状の発現時期や、頻度、特徴を評価することである。
主な結果は以下のとおり:
・脳幹症状は81例(31.4%)に認められた。
・最も頻度が高かった症状は、嘔吐(33.1%)、しゃっくり(22.3%)などであり、続いて眼球運動障害(19.8%)、掻痒(12.4%)、その他、聴力損失(2.5%)、顔面神経麻痺(2.5%)、めまい、前庭性運動失調(それぞれ1.7%)、三叉神経痛(2.5%)、他の脳神経徴候(3.3%)であった。
・44例の患者(54.3%)では、これらの症状が初めに出現した症状であった。
・これらの脳幹症状の有病率は、白人(26%)よりも白人以外の人種(36.6%)において有意に高く(p<0.05)、抗アクアポリン4抗体陰性患者(26%)よりも陽性患者(32.7%)のほうが高い傾向にあった(有意差なし)。
(ケアネット 岸田有希子)