神経内分泌腫瘍(neuroendocrine tumor:NET)はまれな腫瘍であるが、患者数は増加している。しかしながら、わが国では2005年からNETの疫学的研究はなされておらず、有病率は不明である。今回、膵および消化管NETの2005年の疫学データを報告している九州大学の伊藤鉄英氏らが、2010年における受療者の全国調査を実施し、疫学的変化を報告した。Journal of gastroenterology誌オンライン版2014年2月6日号に掲載。
主な結果は以下のとおり。
■膵NET
・2010年の年間受療者数は3,379例で、2005年から1.2倍増加した。
・人口10万人当たりの有病患者数は2.69人/年、2010年における新規発症率は10万人当たり1.27人/年と推定された。
・非機能性膵NETが65.5%を占め、インスリノーマ(20.9%)とガストリノーマ(8.2%)が続いた。非機能性膵NETの患者数は、2005年から1.8倍に増加した。
・最初の診断時、遠隔転移が19.9%に認められた。多発性内分泌腫瘍症1型(MEN-1)との合併が4.3%に認められ、4.0%がMEN-1と合併した非機能性膵NETであった。
■消化管NET
・2010年の年間推定受療者数は8,088例で、2005年から1.8倍増加した。
・人口10万人当たりの有病患者数は6.42人/年、新規発症率は10万人当たり3.51人/年と推定された。
・部位は、前腸26.1%、中腸3.6%、後腸70.3%であった。
・最初の診断時、遠隔転移が6.0%、MEN-1との合併が0.42%に認められた。
・消化管NET症例におけるカルチノイド症候群の頻度は3.2%であった。
(ケアネット 金沢 浩子)