食道がんに、職業リスクは関係するのか。スウェーデン・カロリンスカ研究所のCatarina Jansson氏らは、長期フォローアップによる大規模コホート研究であるthe Nordic Occupational Cancer Study(職業がん研究プロジェクト)を基に、その関連性を検討した。その結果、男女共、ウエーターと食品業従事者でリスクが高く、教師でリスクが低いことを報告した。International journal of cancer. Journal international du cancer誌オンライン版2014年12月29日号の掲載報告。
同コホート研究には、1960~1990年におけるフィンランド、アイスランド、ノルウェー、スウェーデンの成人(30~64歳)、1,290万人が参加している。著者らは、参加者を54の職業カテゴリーに分類し、2005年までの全国的ながんレジストリのフォローアップにより食道がん罹患者を特定した。
主な結果は以下のとおり。
・国別の標準化罹患比(SIRs)および95%信頼区間(CI)を特定した。
・フォローアップ期間中、腺がん4,722例、扁平上皮がん1万4,496例が発生した。
・男性において、腺がんと扁平上皮がんのリスクが高かったのは以下の職業であった。
・食道がんのリスクが低かったのは、技術者、医師、教師、宗教家、造園業者であった。
・6つの職業カテゴリーにおいて、腺がんと扁平上皮がんの間にSIRの有意な差が認められた。
・女性において、食品業従事者とウエーターでリスク増加が、教師でリスク低下が認められた。看護師と看護助手では扁平上皮がんのリスクのみ認められた。
・男女共、ウエーターと食品業従事者でリスク増加が、教師でリスク低下が認められた。
・本大規模コホート研究は、職業により食道がんリスクが異なることを示したが、ほとんどの職業カテゴリーにおいて、食道がんの組織型によるリスクの違いはみられなかった。
(ケアネット)