医療一般|page:290

13価肺炎球菌ワクチン、接種対象者を拡大/ファイザー

 ファイザー株式会社(本社:東京都渋谷区)は2020年5月29日、プレベナー13(R)水性懸濁注(一般名:沈降13価肺炎球菌結合型ワクチン)の新たな適応として、肺炎球菌による疾患に罹患するリスクが高いと考えられる者に対する「肺炎球菌(血清型:1、3、4、5、6A、6B、7F、9V、14、18C、19A、19F および23F)による感染症の予防」の製造販売承認事項一部変更承認を取得した。今回の適応追加により、小児並びに高齢者に限らず、肺炎球菌(血清型:同)による疾患に罹患するリスクが高い方にも接種が可能となる。  肺炎球菌による疾患に罹患するリスクが高いと考えられる者は、以下のような状態の者を指す。

新型コロナ抗体検査が日本でも始動、米国での調査結果は?/JAMA

 第2波が懸念される新型コロナウイルス感染症(COVID-19)。日本では厚生労働省主導のもと、6月より3都府県(人口10万人あたりのCOVID-19累積感染者数の多い東京都・大阪府、少ない宮城県)において、性別、年齢を母集団分布と等しくなるよう層別化し、無作為抽出により選ばれた一般住民約3,000人(全体で約1万人)を対象とした新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の抗体検査が開始した。 抗体保有者の割合を調べ、今後の感染拡大に役立てる予定だ。

双極性障害患者の精神疾患合併症の調査

 双極性障害(BD)患者では、ほかの精神疾患を合併することが少なくない。いくつかの研究では、BD発症前後でみられる精神疾患の発症について、システマティックに調査が行われている。モナコ・Hospital Princesse GraceのJ. Loftus氏らは、成人BD患者における精神疾患の合併率と発症年齢について調査を行った。Journal of Affective Disorders誌2020年4月15日号の報告。  寛解期のフランス人BD患者739例を対象に、アルコールや大麻乱用、自殺企図、不安症、摂食障害の既往例および発症年齢について、構造化された臨床面接により収集した。性別またはサブタイプ別に層別化されたBD群における精神疾患の合併率と発症年齢の統計学的に有意な関連は、回帰分析を用いて評価した。

EGFR陽性肺がん1次治療のオシメルチニブ・ゲフィチニブ併用は有望な可能性/ASCO2020

 EGFR変異陽性の非小細胞肺がん(NSCLC)に対するオシメルチニブとゲフィチニブの併用療法は忍容性があり、奏効率も高く1次治療として有望な可能性があるという報告が、米国臨床腫瘍学会年次総会(ASCO20 Virtual Scientific Program)で米国・Dana-Farber Cancer InstituteのJulia K. Rotow氏から発表された。本試験は、用量漸増相と拡大相からなる第I/II相試験である。

COVID-19中等症、レムデシビル5日間投与で有意に改善/ギリアド

 ギリアド・サイエンシズ (本社:米国・カリフォルニア州)は、2020 年 6 月 1 日、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の中等症入院患者を対象としたレムデシビル(商品名:ベクルリー)の第III相試験(SIMPLE試験)の主要結果を発表。レムデシビル5日間投与群の臨床症状は標準治療単独群より有意に改善し、入院患者に対するレムデシビルの有用性が示されたことを明らかにした。  本試験は、COVID-19の診断が確定し、肺炎がみられるものの酸素飽和度の低下を認めない患者を標準治療に加えレムデシビル5日間もしくは10日間投与する群、標準治療群に1:1:1で割り付けた無作為非盲検試験。主要評価項目は、投与から11日目の臨床状態とし、退院から酸素補給の程度の増加、人工呼吸器の使用、死亡までを指標とする7段階スケールにて評価した。副次評価項目として、レムデシビルの各投与群と標準治療群の有害事象発現率を比較した。

tucatinib追加、HER2+乳がん脳転移例でOS改善(HER2CLIMB)/ASCO2020

 脳転移を有する既治療のHER2陽性乳がん患者に対し、トラスツズマブ+カペシタビンへのtucatinib追加投与はプラセボの追加投与と比較して、頭蓋内奏効率(ORR-IC)が2倍となり、CNS無増悪生存(CNS-PFS)および全生存(OS)アウトカムが良好であったことが示された。米国・ダナファーバーがん研究所のNancy U. Lin氏が、米国臨床腫瘍学会年次総会(ASCO20 Virtual Scientific Program)で第II相HER2CLIMB試験の探索的解析結果を発表した。 ・対象:18歳以上、ベースライン時に脳転移を有し、トラスツズマブ、ペルツズマブ、T-DM1による治療後に病勢進行が認められた、HER2陽性乳がん患者(ECOG PS 0/1) 291例 ・試験群:tucatinib(1日2回300mg、経口投与)+トラスツズマブ(21日ごとに6mg/kg[1サイクル目の1日目だけ8mg/kg])+カペシタビン(21日ごとに1日目から14日まで1日2回1,000mg/m2、経口投与) 191例 ・対照群:プラセボ+トラスツズマブ+カペシタビン 93例 ・評価項目:

間質性肺疾患にオフェブが適応追加承認/日本ベーリンガーインゲルハイム

 日本ベーリンガーインゲルハイムは、チロシンキナーゼ阻害剤/抗線維化剤ニンテダニブ(商品名:オフェブ)につき、2020年5月29日付で、進行性線維化を伴う間質性肺疾患の効能・効果で国内における製造販売承認を取得した。  今回の承認は、国際共同第III相臨床試験(INBUILD試験)1)に基づくもので、わが国で初めて進行性線維化を伴う間質性肺疾患を適応として承認された治療薬となる。  間質性肺疾患(Intersticial lung disease:ILD)は、200を超える肺疾患を包含し、進行性の肺の線維化を来すという共通の特徴がみられる疾患。とくに特発性肺線維症(IPF)は、間質性肺疾患の代表的疾患として知られ、IPF以外のILDでも、IPFに類似した臨床経過、すなわち肺の線維化、肺機能の低下および生活の質(QOL)の悪化を引き起こし、早期死亡につながる。

産後うつ病と食事との関係~メタ解析

 一般集団において、食事パターンがうつ病や抑うつ症状の発症に影響を及ぼすことが、観察研究によるエビデンスで示唆されている。しかし、出産後の女性における食事と産後うつ病(PPD)との関係を検討した研究はほとんどない。オーストラリア・ディーキン大学のRachelle S. Opie氏らは、出産後の女性の食事とPPD症状との関連を調査するため、既存の公表済みの研究よりデータを統合し検討を行った。Maternal and Child Health Journal誌オンライン版2020年5月4日号の報告。  1835年~2020年4月に公開された関連文献を、MEDLINE、EMBASE、CINAHL、PubMed、PsycInfoのデータベースよりシステマティックに検索した。

COVID-19へのレムデシビル、国際共同治験の中間報告:国立国際医療研究センター

 国立国際医療研究センター(NCGM)は5月29日(金)、メディア勉強会を行い、これまでのCOVID-19に関する取り組みや現在行う治療、研究開発について発表した。  このうち、NCGMセンター病院 国際感染症センター長の大曲 貴夫氏がレムデシビル(商品名:ベクルリー)のアダプティブCOVID-19治療治験(ACTT、国際多施設共同無作為化二重盲検比較試験)について中間解析結果を発表した。  対象患者の主な選択基準は以下のとおり。 ・PCRまたはその他の検査法でSARS-CoV-2 感染が確定された入院患者 ・成人男性または妊娠していない成人女性

TN乳がんへのカペシタビンの術後メトロノミック療法(SYSUCC-001)/ASCO2020

 手術や術前または術後の標準的な化学療法を受けたトリプルネガティブ乳がん(TNBC)に対する、カペシタビンのメンテナンス投与(メトロノミック療法)が、経過観察に比べ無病生存期間(DFS)を改善するという報告が、米国臨床腫瘍学会年次総会(ASCO20 Virtual Scientific Program)で、中国・Sun Yat-Sen University Cancer CenterのXi Wang氏より発表された。  本試験は、中国国内で実施された多施設共同第III相比較試験である。 ・対象:Stage Ib〜IIIcのTNBCで、標準的な周術期治療(手術、術前または術後の化学療法、放射線療法)を終了した症例。症例登録期間は、2010年4月から2016年12月。 ・試験群:カペシタビン650mg/m2×2/日を1年間投与(Cape群) ・対照群:経過観察(観察群)

トラスツズマブ デルクステカン、HER2変異陽性肺がんに有望な結果示す(DESTINY-Lung01)/ASCO2020

 トラスツズマブ デルクステカン(T-DXd)は、抗HER2抗体およびトポイソメラーゼI阻害薬の抗体薬物複合体である。 DESTINY-Lung01(NCT03505710)は、HER2過剰発現またはHER2遺伝子変異陽性の非扁平上皮非小細胞肺がん(NSCLC)におけるT-DXdの多施設共同マルチコホートの第II相試験で現在進行中である。 米国臨床腫瘍学会年次総会(ASCO20 Virtual Scientific Program)では、HER2変異患者に対する、追跡期間中央値8.0ヵ月の中間解析の結果が報告された。

ALK陽性肺がん1次治療におけるアレクチニブの5年OS(ALEX)/ASCO2020

 未治療の進行ALK陽性非小細胞肺がん(NSCLC)におけるアレクチニブ(ALC)とクリゾチニブ(CRZ)の無作為化第III相ALEX研究から、5年間の全生存期間(OS)データが、米国臨床腫瘍学会年次総会(ASCO20 Virtual Scientific Program)で、Solange Peters氏より報告された。  主な結果は以下のとおり。 ・追跡期間中央値はALC群48.2ヵ月、CRZ群23.3ヵ月であった。 ・データカットオフ(2019年11月29日)時点で、ALC群のOS中央値は依然として未達、CRZ群では57.4ヵ月であった(層別化HR:0.67、95%CI:0.46〜0.98、p=0.0376)。 ・5年生存率は、ALC群62.5%に対し、CRZ群では45.5%であった。 ・他のALK~TKIへの後治療は、ALC群では38.1%、CRZ群では53.5%で発生した。ALC群では、おもにロルラチニブとクリゾチニブ、、CRZ群ではおもにセリチニブ、アレクチニブであった。 ・更新データでも新たな安全性シグナルは観察されなかった。

日本人アルコール依存症に対するナルメフェンの長期有用性

 久里浜医療センターの樋口 進氏らは、アルコール依存症におけるWHOの飲酒レベルリスクが高いまたは非常に高い日本人患者に対するナルメフェンの安全性および有効性を評価した多施設ランダム化二重盲検プラセボ対照第III相(導入)試験完了後の患者を対象に、ナルメフェンの非盲検延長試験を実施し、長期の安全性および有効性を検討した。Psychiatry and Clinical Neurosciences誌オンライン版2020年5月2日号の報告。  24週間の導入試験を完了した患者を対象に延長試験を実施した。必要に応じてナルメフェン20mg/日による24週間の治療を行った。合計48週間におけるナルメフェン20mg/日による治療の長期安全性および有効性を評価した。研究期間中に治療で発生した有害事象を記録し、多量飲酒した日数および総飲酒量のベースラインからの変化量を算出した。

新型コロナ患者の退院基準、2回の陰性確認が不要に/厚労省

 5月29日、「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律(以下、感染症法)における新型コロナウイルス感染症患者の退院及び就業制限の取扱いについて(一部改正)」において、退院に関する基準の改正通知が発出された。  改正後の通知で、感染症法第22条の「症状が消失したこと」とは、原則として次の(1)に該当する場合とされる。ただし、次(2)に該当する場合も差し支えない。

EGFR変異陽性NSCLCに対するオシメルチニブのアジュバント(ADAURA)/ASCO2020

 第3世代EGFR-TKIオシメルチニブによる、Stage IB〜IIIAEGFR変異陽性非小細胞肺がん(NSCLC)の術後補助療法の有効性と安全性を評価する第III相無作為化二重盲検比較試験ADAURAが行われた。この試験は、独立データ監視委員会の勧告に従い、有効性により早期に盲検解除されている。中間解析の結果を、米国臨床腫瘍学会年次総会(ASCO20 Virtual Scientific Program)において、米国・Roy Herbst氏が報告した。

PD-L1陽性TN乳がん1次治療、ペムブロリズマブ+化療でPFS改善(KEYNOTE-355)/ASCO2020

 手術不能な局所再発または転移を有するPD-L1陽性(CPS≧10)のトリプルネガティブ(TN)乳がんの1次治療で、化学療法にペムブロリズマブを追加することにより、無増悪生存期間(PFS)が有意に改善することが、無作為化二重盲検第III相KEYNOTE-355試験で示された。スペイン・IOB Institute of Oncology, Quiron Group/Vall d’Hebron Institute of OncologyのJavier Cortes氏が米国臨床腫瘍学会年次総会(ASCO20 Virtual Scientific Program)で発表した。

ディズニー映画、がん患者のQOLに寄与

 腫瘍学において、治療効果に加え、有害事象および生活の質(QOL)の評価が重要になってきている。オーストリア・ウィーン医科大学のSophie Pils氏らは、がん化学療法中のディズニー映画観賞は婦人科がん患者の感情的機能、社会的機能、および疲労症状の改善に関連している可能性があることを明らかにした。JAMA Network Open 5月1日号掲載の報告。  研究者らは、2017年12月~2018年12月、がん化学療法中にディズニー映画の鑑賞と、感情的・社会的機能および疲労症状との関連の評価を目的とし、オーストリア・ウィーンのcancer referral centerにて無作為化試験を実施。

統合失調症と自閉スペクトラム症の判別に~脳機能的結合からのアプローチ

 統合失調症スペクトラム障害(SSD)と自閉スペクトラム症(ASD)との関係については長年議論されてきたが、いまだに解明には至っていない。京都大学の吉原 雄二郎氏らは、ASDとSSDの関係を定量化および視覚化するために、安静時機能結合MRIに基づき健常対照群(HC)から患者を判別する両方の分類手法を用いて調査を行った。Schizophrenia Bulletin誌オンライン版2020年4月17日号の報告。  信頼性の高いSSD分類手法を開発するため、慢性期SSD患者を含む京都大学医学部附属病院のデータセット(170例)よりSSD固有の機能的接続を自動的に選択する高度な機械学習アルゴリズムを適応した。SSD分類手法の一般化の可能性は、2つの独立した検証コホートと初回エピソード統合失調症患者を含む1つのコホートによりテストした。SSD分類手法の特異性は、ASDとうつ病の2つの日本人コホートによりテストした。分類手法の機能的結合の加重線形総和は、疾患の神経分類の確実性を表す生物学的ディメンションを構成した。以前に開発したASD分類手法をASDディメンションとして使用した。SSD、ASD、HC群の分布は、SSDおよびASDの生物学的ディメンションで調査した。

ニボルマブ+イピリムマブ+化学療法限定追加レジメン、肺がん1次治療でOS改善(CheckMate9LA)/ASCO2020

  PD-L1とCTLA-4阻害薬は補完的に働く。また、PD-L1阻害薬と化学療法の併用は複数の臨床研究で生存ベネフィットが示されている。非小細胞肺がん(NSCLC)1次治療において、PD-L1阻害薬ニボルマブとCTLA-4阻害薬イピリムマブに2週間の限定化学療法を追加治療を評価する第III相非盲検無作為化試験CheckMate9LAの中間解析の結果を、米国臨床腫瘍学会年次総会(ASCO20 Virtual Scientific Program)でMartin Reck氏が発表した。

双極性障害外来患者に対する薬理学的治療~20年の変遷

 双極性障害に対する薬理学的治療オプションは、1990年代にいくつかの第2世代抗精神病薬が承認を受けたことにより、この20年間で増加した。米国・コネチカット大学のTaeho Greg Rhee氏らは、双極性障害外来患者のマネジメントにおける薬理学的治療の傾向について報告を行った。The American Journal of Psychiatry誌オンライン版2020年4月21日号の報告。  1997~2016年のNational Ambulatory Medical Care Survey(NAMCS)の全国データを用いて、プライマリ診断でリストアップされた精神科を受診した双極性障害患者における、気分安定薬、第1世代および第2世代抗精神病薬、抗うつ薬の使用傾向について調査を行った。年齢、性別、人種/民族、保険を含む共変量とともにロジスティック回帰モデルを用いて、統計学的に有意な傾向を特定した。