双極性障害に対する薬理学的治療オプションは、1990年代にいくつかの第2世代抗精神病薬が承認を受けたことにより、この20年間で増加した。米国・コネチカット大学のTaeho Greg Rhee氏らは、双極性障害外来患者のマネジメントにおける薬理学的治療の傾向について報告を行った。The American Journal of Psychiatry誌オンライン版2020年4月21日号の報告。
1997~2016年のNational Ambulatory Medical Care Survey(NAMCS)の全国データを用いて、プライマリ診断でリストアップされた精神科を受診した双極性障害患者における、気分安定薬、第1世代および第2世代抗精神病薬、抗うつ薬の使用傾向について調査を行った。年齢、性別、人種/民族、保険を含む共変量とともにロジスティック回帰モデルを用いて、統計学的に有意な傾向を特定した。
主な結果は以下のとおり。
・双極性障害外来患者に対する抗精神病薬の使用は一般的となっており、12.4%(1997~2000年)から51.4%(2013~16年)へ増加していた(調整オッズ比:5.05、95%CI:3.65~7.01)。
・気分安定薬の使用は、62.3%(1997~2000年)から26.4%(2013~16年)へ減少していた(調整オッズ比:0.18、95%CI:0.13~0.27)。
・抗うつ薬の使用は、47.0%(1997~2000年)から57.5%(2013~16年)の変化であった。
・気分安定薬を含まない抗うつ薬の使用は、17.9%(1997~2000年)から40.9%(2013~16年)へ大幅に増加していた(調整オッズ比:2.88、95%CI:2.06~4.03)。
著者らは「この20年間で、双極性障害治療に変化が認められており、従来の気分安定薬に代わり第2世代抗精神病薬の使用が増加していた。抗うつ薬の使用は、双極性障害に対する有効性に関してエビデンスの欠如や躁転リスク増加の懸念があるにもかかわらず持続していた」とし、「新規抗精神病薬の実際の有効性や忍容性について、従来の気分安定薬と比較した研究が必要とされる」としている。
(鷹野 敦夫)