5月29日、「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律(以下、感染症法)における新型コロナウイルス感染症患者の退院及び就業制限の取扱いについて(一部改正)」において、退院に関する基準の改正通知が発出された。
原則、発症日から14日、症状軽快後72時間経過で退院基準を満たす
改正後の通知で、感染症法第22条の「症状が消失したこと」とは、原則として次の(1)に該当する場合とされる。ただし、次(2)に該当する場合も差し支えない。
(1)発症日から14日間経過し、かつ、症状軽快後72時間経過した場合
(2)発症日から10日経過以前に症状軽快した場合に、症状軽快後24時間経過した後に核酸増幅法(PCR)検査を行い、陰性が確認され、その検査の検体を採取した24時間以後に再度検体採取を行い、陰性が確認された場合
また、無症状病原体保有者については、発症日から14日間経過した場合に、退院の基準を満たすものとされる。
「発症日」とは、患者が症状を呈し始めた日とし、無症状病原体保有者または発症日が明らかでない場合については、陽性確定に係る検体採取日とする。「症状軽快」とは、解熱剤を使用せずに解熱し、かつ、呼吸器症状が改善傾向にあること。
上記(2)のPCR検査で陽性が確認された場合でも、(1)に該当した場合は(1)と同様の扱いになる。それ以外の例では、24時間後にPCR検査を行い、陰性が確認され、その検査の検体を採取した24時間以後に再度検体採取を行い、陰性が確認されるまで、PCR検査を繰り返すものとする。
なお、患者が再度症状を呈した場合や無症状病原体保有者が新たに症状を呈した場合は、症状軽快後に上記に該当するまで退院の基準を満たさないものとされる。
退院基準改正で、症状軽快者による病床数の圧迫は解消となるか
これまで、新型コロナウイルス感染症の入院患者は、PCR検査で2回陰性にならないと退院できないため、陰性が出るまで何回も検査を繰り返し、その結果ベッドが空かず、新規入院を受け入れられないような状況が問題視されることもあった。今回の改正は、そういった状況の解消を見込んだものと考えられる。
なお、通知以前に新型コロナウイルス感染症または無症状病原体保有者として入院している患者で、本通知による改正前の退院の取り扱いに基づき検体採取などを行っている場合については、従前のとおり取り扱って差し支えないものとされる。
(ケアネット 堀間 莉穂)