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クラリスロマイシン製剤、ヘリコバクター・ピロリ感染症に係る適応症追加を申請

 大正製薬株式会社とアボット ジャパン株式会社は8月31日、両社がそれぞれ日本において製造・販売している「クラリス錠200」と「クラリシッド錠200mg」(クラリスロマイシン製剤)について、プロトンポンプ阻害薬(4成分・5ブランド)及びアモキシシリン水和物(一般名、3ブランド)を用いた3剤併用によるヘリコバクター・ピロリ感染症に係る、ヘリコバクター・ピロリ感染胃炎の適応症を追加する申請を、9社共同で厚生労働省に行ったと発表した。

エビリファイ、うつ病・うつ状態の補助療法の効能申請

 大塚製薬株式会社は3日、抗精神病薬「エビリファイ」 (一般名:アリピプラゾール)に関し、大うつ病性障害患者を対象にアリピプラゾール補助療法の臨床試験を日本で実施し、有効性及び安全性が確認されたことから、日本で初めてうつ病・うつ状態の補助療法に対する効能追加の承認申請を行ったと発表した。

『ボストン便り』(第41回)「世界の主流としての当事者参画」

 星槎大学共生科学部教授 ハーバード公衆衛生大学院リサーチ・フェロー 細田 満和子(ほそだ みわこ) 2012年8月31日 MRIC by 医療ガバナンス学会 発行 ※本記事は、MRIC by 医療ガバナンス学会より許可をいただき、同学会のメールマガジンで配信された記事を転載しております。 紹介:ボストンはアメリカ東北部マサチューセッツ州の州都で、建国の地としての伝統を感じさせるとともに、革新的でラディカルな側面を持ち合わせている独特な街です。また、近郊も含めると単科・総合大学が100校くらいあり、世界中から研究者が集まってきています。そんなボストンから、保健医療や生活に関する話題をお届けします。 (ブログはこちら→http://blog.goo.ne.jp/miwakohosoda/)

うつ病の5人に1人が双極性障害、躁症状どう見つける?

 わが国の気分障害患者は増加の一途をたどっている。気分障害の中でも、躁病エピソードとうつ病エピソードを繰り返す双極性障害の診断・治療への関心は高い。治療に関しては、双極性障害の適応を有する薬剤が最近いくつか承認された背景もあり、日本うつ病学会は本年(2012年)3月末に双極性障害治療ガイドラインの改訂を行っている。一方、診断に関しては、躁症状や軽躁状態を把握することが難しく、うつ病と診断されるケースも少なくない。Perugi氏らは、双極性障害の診断ツールとして開発され、国際的にテストされているHCL-32(Hypomania Checklist-32)の有用性を検討し、Psychopathology誌オンライン版2012年8月7日号で報告した。

福島県南相馬市・大町病院から(9) 南相馬に患者を戻して本当に大丈夫なのか

 南相馬市大町病院 佐藤 敏光 2012年8月28日 MRIC by 医療ガバナンス学会 発行 ※本記事は、MRIC by 医療ガバナンス学会より許可をいただき、同学会のメールマガジンで配信された記事を転載しております。 南相馬市大町病院の佐藤です。 入院患者数は72名となりました。8月から定床が80床から104床に増えました。24床が急に増えたのは療養型病床を開けるようになったからです。療養型は30:1の看護基準で良く、72時間以内の夜勤時間も当てはめなくても良いそうです(月8回:2交代制のため1回16時間×8=128時間以内の枠はあり)。これは看護師不足の南相馬の病院にとっては良いことのように見えますが、実際は看護師の過重労働を課しているようなものです。看護助手さんができることはお願いしていますが、急性期以上に手のかかる患者がいることは事実です。

せん妄の早期発見が可能に

 高齢入院患者におけるせん妄発現は患者や家族の苦痛だけでなく、入院期間の延長や医療事故、医療スタッフの負荷増大などさまざまな弊害をもたらす。そのため対応方法の確立が急がれる。せん妄に対応するためには、早期発見が重要である。海外では、せん妄評価法(Confusion Assessment Method:CAM)が一般病棟におけるせん妄の早期発見に用いられている。Thomas氏らは、高リスク患者のせん妄のスクリーニングと診断についてICD-10およびDSM-IVと比較して、CAMアルゴリズムのせん妄判定基準が有用であるかを検討した。J Am Geriatr Soc誌オンライン版2012年8月6日号の報告。

統合失調症患者における「禁煙」は治療に影響を与えるか?

 統合失調症患者の喫煙率がなぜ高いのか? この理由に関してはいまだ明らかになっていない。従来、この疑問を評価した研究では、不均一な集団をサンプリングし、不一致な所見を示していた。Krishnadas氏らはスコットランドのNithsdale在住の統合失調症患者131例を対象に臨床像、社会的適応とニコチン依存の関係を横断的に調査した。Br J Psychiatry誌オンライン版2012年8月9日号の報告。

他SSRI切替、どの程度の効果?:北海道大学

 現在わが国では、うつ病患者に対し複数のSSRIが使用可能である。また、SNRIやNaSSAなど新たな作用機序を有する抗うつ薬も発売され、うつ病の治療選択肢は広がった。うつ病治療においては、寛解を目指すことが求められるが、最初に選択した薬剤で必ずしも寛解を達成できるわけではない。そのような際、第1選択薬のSSRIから同様なセロトニンの再取り込みを阻害作用を有するほかのSSRIへ切り替えることは、臨床的にメリットがあるのだろうか? 北海道大学 井上氏らは未寛解や治療不耐性の大うつ病患者に対し、ほかのSSRIからセルトラリンに切り替えた際の、長期有効性および安全性を検討した。Prog Neuropsychopharmacol Biol Psychiatry誌2012年8月7日号の報告。

南相馬市立総合病院“初”初期研修医として

亀田総合病院・南相馬市立総合病院 初期研修医 木村 和秀  2012年8月23日 MRIC by 医療ガバナンス学会 発行 ※本記事は、MRIC by 医療ガバナンス学会より許可をいただき、同学会のメールマガジンで配信された記事を転載しております。 7月1日から8月3日まで、南相馬市立総合病院で、相双地区で初めて初期研修医として1ヶ月間研修を行った。 そこで体験したこと、出会った人々、考察した事を、この後に続く研修医のためにまとめると共に、山積した問題を解決し得る知恵を持った方々と共有するために、ここに発表したい。

成人T細胞白血病リンパ腫におけるモガムリズマブ欧米第2相臨床試験開始

 協和発酵キリン株式会社は23日、治療経験のある成人T細胞白血病リンパ腫(ATL)を対象としたモガムリズマブ(一般名、開発コード: KW-0761)の欧米第2相臨床試験を開始したことを発表した。モガムリズマブは、ATLを対象疾病とした希少疾病用医薬品(オーファンドラッグ)の指定を、米国食品医薬品局および欧州委員会から受けている。

高血圧患者さんの食塩摂取量への意識を高めるiPhone アプリ

 食塩の過剰摂取が血圧上昇と関連していることは古くから知られており、減塩による降圧効果も証明されている。メタアナリシスの結果によると、1gの減塩によって収縮期血圧1mmHgの降圧が期待できる。しかし、6g/日前半まで食塩摂取量を落とさなければ有意な降圧は達成できていない。このことを根拠にわが国では高血圧患者の減塩目標として6g/日未満を推奨している。

デポ剤使用で寛解率が向上!?

 統合失調症治療における最終ゴールである寛解。寛解を目指すため、さまざまな取り組みが行われている。近年、統合失調症治療薬は経口剤だけでなく、持効性注射製剤(LAI)も承認され、多くの患者に使用されるようになってきた。このLAIが寛解にどのような影響を与えるかについて、BMC Psychiatry誌オンライン版2012年8月10日号で報告された。

治療抵抗性高血圧の血圧コントロールのために有用なのは、アドヒアランスの改善か、薬物治療の強化か?

 治療抵抗性高血圧の要因には、血圧測定上の問題、白衣現象、アドヒアランス不良のような偽治療抵抗性、生活習慣の問題、薬物治療の問題、二次性高血圧があるが、これらの要因の解消が血圧コントロールにつながるかは明らかにされていなかった。Daugherty氏らは治療抵抗性高血圧患者のデータをレトロスペクティブに解析した結果、血圧コントロールの改善と薬物治療の強化は有意な相関を示したが、血圧コントロールの改善とアドヒアランスの改善とは有意な相関を認めなかったことをHypertension誌に発表した。Daugherty氏らは、なぜ血圧コントロール不良例が薬物治療の強化を受け入れないのかを調査する必要性があることを強調している。

 『あめいろぐピックアップ』(第三回)透析をやめるとき

 Medical U of South Carolinaで腎臓内科研修中 サウスキャロライナ医科大学腎臓内科 三枝 孝充(さいぐさ たかみつ) 2012年8月20日 MRIC by 医療ガバナンス学会 発行 ※本記事は、MRIC by 医療ガバナンス学会より許可をいただき、同学会のメールマガジンで配信された記事を転載しております。 紹介:「あめいろぐ http://ameilog.com/ 」は米国で働く日本人医療従事者による情報発信ブログポータルサイトです。米国で活躍する様々な専門科の医師やコメディカルが、現場から生き生きとした情報を日々発信しています。このシリーズでは、その中から選りすぐりの記事を皆さまにお届けします。 「透析をやめるとき」 余命6ヶ月といわれた癌患者に積極的な治療でなく緩和医療(palliative care)をオファーすることに抵抗は少ないと思いますが、余命が同程度と思われるESRD(末期腎不全)患者に透析を提供しないまたは透析をやめることに抵抗を感じる人は多いと思います。

検証!「痛み」と「うつ」関係は?:山口大学

 末梢神経障害による気分障害を伴う神経障害性疼痛はQOLに影響を及ぼす重大な問題である。最近の研究では、大脳辺縁系の脳由来神経栄養因子(BDNF)の欠乏がpain-emotion(痛みの感情)を生じさせることが示唆されている。BDNFは4-メチルカテコール(4-MC)により培養神経細胞で誘発されるが、pain-emotionにおけるBDNFの役割は十分にわかっていない。山口大学 福原氏らは、BDNFが末梢神経障害後の慢性疼痛時に脳やうつ病様症状に対しどのように関与しているかを評価し、脳室内の4-MCが慢性疼痛を防ぎ、抗うつ効果を発揮するかどうかを検討した。その結果、BDNFの強化はうつ病を伴う慢性疼痛の新たな治療戦略となる可能性があることをCell Mol Neurobiol誌2012年8月号にて報告した。