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2022-23年シーズンのインフル対策に4つの提言/日本感染症学会

 日本感染症学会(理事長:四柳 宏氏[東京大学医科学研究所附属病院長])は、7月26日に同学会のホームページで学会提言として「2022-2023年シーズンのインフルエンザ対策について」(医療機関の方々へ)を公開した。  現在、わが国は新型コロナウイルス感染症(COVID-19)第7波の真っただ中であるが、インフルエンザについては、国内でCOVID-19の流行が始まった2020年2月以降、患者報告数は急速に減少していた。

閉経前乳がんへの2年の術後補助内分泌療法による20年間の有用性/JCO

 閉経前のエストロゲン受容体陽性乳がんにおいて、2年間の術後補助内分泌療法による20年間のベネフィットが示唆された。STO-5試験(Stockholm tamoxifen randomized trial)の2次解析結果について、スウェーデン・Karolinska InstitutetのAnnelie Johansson氏らがJournal of Clinical Oncology誌オンライン版2022年7月21日号に報告した。今回の解析では、長期にわたって一定の遠隔再発リスクを有する遺伝学的低リスク患者はタモキシフェンで長期にわたるベネフィットが得られ、早期のリスクを有する遺伝学的高リスク患者はゴセレリンからベネフィットが得られることも示された。なお、ゴセレリンとタモキシフェンの併用は、単剤療法を超える有用性は示されなかったという。

ミズイボに、一酸化窒素放出ゲル剤の有効性・安全性を確認

 伝染性軟属腫(MC)の治療として、新規塗布薬の一酸化窒素(NO)放出薬である10.3%berdazimerゲル剤が、良好な有効性と安全性を示し有害事象の発現頻度は低率だったことを、米国・Texas Dermatology and Laser SpecialistsのJohn C. Browning氏らが第III相無作為化試験の結果、報告した。MCは伝染性軟属腫ウイルス(molluscipoxvirus)によって引き起こされる、日常診療でよくみかける持続性で伝染性の高い皮膚感染症で、自然治癒することが多いとされる一方、数ヵ月から数年続く可能性も否定できない。米国では年間約600万人が症状に悩まされ、1~14歳の子供の発生が最も多いと報告されているが、米国FDA承認薬はいまのところないという。わが国でも同様に子供に多く、治療方針は自然治癒を待つものから冷凍凝固療法など外科的処置まで柔軟に選択されている。JAMA Dermatology誌オンライン版2022年7月13日号掲載の報告。

BA.4/BA.5に強力な中和抗体反応/2価ワクチン候補mRNA-1273.214

 2022年7月11日(現地時間)、Moderna(米国)は、オミクロン株亜系統BA.1を含む追加接種用2価ワクチン候補mRNA-1273.214について新しい臨床データを発表し、mRNA-1273(商品名:スパイクバックス筋注)による追加接種と比較して、オミクロン亜系統BA.4およびBA.5に対する有意な中和抗体反応が示されたことを発表した。  Modernaは、各市場におけるオミクロン亜系統の状況に応じて、今秋に向け2種類の追加接種用2価ワクチン候補の開発を進めている。今回公表されたのは、そのうちのmRNA-1273.214に関するデータである。主な結果は以下のとおり。 ・接種時に感染のない被験者において、2価ワクチン候補mRNA-1273.214 は、既存のmRNA-1273による追加接種と比較して、BA.4/BA.5に対して有意に高い中和抗体価を示し、幾何平均比は1.69(95%信頼区間[CI]:1.51~1.90)であった。 ・追加接種から1ヵ月後の時点におけるBA.4/BA.5に対する中和抗体価は、mRNA-1273.214 では776(95%CI:719~838)、mRNA-1273による追加接種では458(95%CI:421~499)であった。

COVID-19パンデミックのロックダウンと不安、うつ、自殺リスク

 COVID-19パンデミックにより、世界各国でさまざまなロックダウンが行われた。このような対策はメンタルヘルスに悪影響を及ぼすと考えられるが、対策の強度とメンタルヘルスへの影響との関係については、十分に研究されていない。ギリシャ・アリストテレス大学のKonstantinos N. Fountoulakis氏らは、大規模COMET-G研究のデータを用いて、これらの関連性を調査した。その結果、ロックダウンとメンタルヘルスとの間にほぼ線形の関係が認められ、脆弱なグループの特定とより具体的なメンタルヘルス介入の必要性があらためて明らかとなった。Psychiatry Research誌オンライン版2022年7月1日号の報告。  COVID-19パンデミック期間中に40ヵ国5万5,589人の参加者よりオンラインアンケートでデータを収集した。メンタルヘルスの評価尺度として、不安にはSTAI、うつ病にはCES-D、自殺リスクにはRASSを用いた。不快なストレス(Distress)とうつ病疑いは、すでに開発済みのカットオフ値とアルゴリズムを用いて特定した。相対リスク(RR)の算出には、ANOVA分析およびマルチプル後方ステップワイズ線形回帰分析を用いた。

早期乳がんへの術前抗HER2療法+アテゾリズマブ、pCR61%(Neo-PATH)/JAMA Oncol

 ERBB2(HER2)陽性早期乳がんに対して、抗HER2療法にアテゾリズマブを加えた術前療法は病理学的完全奏効率(pCR)61%を示し、毒性は穏やかであることが示された。韓国・Gachon University Gil Medical CenterのHee Kyung Ahn氏らによる第II相Neo-PATH試験の結果が、JAMA Oncology誌オンライン版2021年10月7日号に報告された。  Neo-PATH試験は、前臨床試験で相乗効果が示されたERBB2陽性早期乳がんに対するアテゾリズマブ、ドセタキセル、トラスツズマブ、ペルツズマブの術前療法の有効性を検討する非無作為化オープンラベル多施設共同第II相試験。韓国の6施設から2019年5月~2020年5月にかけて患者が登録された。対象は、Stage IIまたはIIIのERBB2陽性乳がん(原発巣サイズ2cm以上または病理学的リンパ節転移陽性、遠隔転移なし)。

コロナとインフルワクチンの同時接種での副反応、ファイザー製vs.モデルナ製

 日本国内でも先日開催された厚生労働省の厚生科学審議会・予防接種・ワクチン分科会にて、新型コロナワクチンとインフルエンザワクチンの同時接種が了承された。世界ではすでに同時接種を行う例もあり、米国・CDC COVID-19 Response TeamのAnne M Hause氏らが同時接種による有害事象の増加有無、ワクチンメーカーによる違いについて調査した結果、新型コロナワクチンのブースター接種とインフルエンザワクチンを同時接種した者は新型コロナワクチンのみを接種した者と比較して、接種後0~7日の全身反応の報告が有意に増加していたことが明らかになった。ただし、それらは軽度~中等度であること、また、同時接種による調整オッズ比[aOR]はファイザー製で1.08、モデルナ製で1.11であったことも示唆された。本研究はJAMA Network Open誌2022年7月15日号に掲載された。

アルコール依存症リスクに対する喫煙の影響

 喫煙と飲酒には強い相関があるといわれている。英国・ユニバーシティ・カレッジ・ロンドンのClaire Garnett氏らは、イングランドにおける飲酒者の喫煙率および喫煙の特性について、アルコール依存症リスクの有無による比較を行った。その結果、アルコール消費量増加と喫煙率上昇との関連が認められたことから、著者らは、アルコール依存症リスクを有する喫煙者では、英国国民保健サービス長期計画(NHS Long Term Plan)の一環として喫煙率を低下させることが重要であると報告した。The Lancet Regional Health. Europe誌2022年6月9日号の報告。  イングランドの成人(weighted n:14万4,583人)を対象に毎月実施された断面調査のデータ(2014~21年)を用いて、分析を行った。喫煙および禁煙チャレンジの特徴は、調査年で調整した後、アルコール依存症(飲酒者のアルコール依存症リスクの有無別)で回帰した。  主な結果は以下のとおり。

1型糖尿病にSGLT2阻害薬を使用する際の注意点/日本糖尿病学会

 日本糖尿病学会(理事長:植木 浩二郎)は、2014年に策定された「SGLT2阻害薬の適正使用に関する Recommendation」を改訂し、2022年7月26日に公開した。改訂は7度目となる。  今回の改訂は、2022年4月よりSGLT2阻害薬服用中の1型糖尿病患者の在宅での血中ケトン体自己測定が可能となったことに鑑み、これらの情報をさらに広く共有することにより、副作用や有害事象が可能な限り防止され、適正使用が推進されることを目的としている。  具体的には、【ケトアシドーシス】の項で「SGLT2阻害薬使用中の1型糖尿病患者には、可能な限り血中ケトン体測定紙を処方し、全身倦怠感・悪心嘔吐・腹痛などの症状からケトアシドーシスが疑われる場合は、在宅で血中ケトン体を測定し、専門医の受診など適正な対応を行うよう指導する」という文言が追加された。

BA.4/BA.5に対するコロナ治療薬の効果を比較/NEJM

 国内の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の第7波ではオミクロン株BA.5が主流となり、感染拡大が急速に進んでいる。また海外では、BA.4やBA.2.12.1への置き換わりが進んでいる地域もある。東京大学、国立感染症研究所、国立国際医療研究センターが共同で行った研究において、これらの新系統BA.2.12.1、BA.4、BA.5に対し、4種類の抗体薬と3種類の抗ウイルス薬についてin vitroでの有効性を検証したところ、国内で承認済みの抗ウイルス薬が有効性を維持していることが示唆された。

高齢乳がん患者への術前化学療法、治療目標を達成できるか

 手術可能な70歳以上の乳がん患者において、術前化学療法(NAC)によるダウンステージ率と忍容性の研究は少ない。今回、米国・Memorial Sloan Kettering Cancer CenterのAustin D. Williams氏らが、NAC完遂率とダウンステージ率を50~69歳と70歳以上で比較したところ、70歳以上ではNAC完遂率が低かったが、乳房および腋窩リンパ節のダウンステージ率は50~69歳の患者と同程度に高かった。Annals of Surgical Oncology誌オンライン版2022年7月24日号に掲載。

維持期統合失調症に対するアリピプラゾール月1回製剤と経口剤との比較~メタ解析

 藤田医科大学の岸 太郎氏らは、成人の維持期統合失調症治療においてアリピプラゾールの長時間作用型注射剤(アリピプラゾール月1回製剤、AOM)が経口剤(OARI)より有益であるかを検討するため、システマティックレビューおよびネットワークメタ解析を実施した。その結果、維持期統合失調症患者に対するAOMとOARIによる治療は、どちらも有効であったが、AOMのほうがより受容性が高いことが示唆された。Pharmacopsychiatry誌オンライン版2022年7月5日号の報告。  AOM、OARI、プラセボのうち2つを含む二重盲検ランダム化比較試験のシステマティックレビューおよびネットワークメタ解析を実施した。

大豆と認知症の関連を日本人を対象に調査~JPHC研究

 国立がん研究センターがん対策研究所の村井 詩子氏らは、日本人における大豆製品、個々の大豆食品(納豆、みそ、豆腐)、イソフラボンの摂取量とその後の認知症リスクとの関連を調査した。その結果、大豆製品の総摂取量と認知症リスク低下との関連は認められなかったが、女性(とくに60歳未満)では、納豆の摂取量と認知症リスク低下との関連が認められたことを報告した。European Journal of Nutrition誌オンライン版2022年7月5日号の報告。  男性1万8,991人、女性2万2,456人を対象に人口ベースのプロスペクティブ研究を実施した。大豆製品およびイソフラボンの摂取量を算出するため、1995年と1998年の調査(対象者の年齢:45~74歳時点)で収集した検証済み食物摂取頻度質問票のデータを参照した。認知症は、2006~16年の要介護認定情報における認知症関連の日常生活障害により定義した。大豆製品、個々の大豆食品、イソフラボンの1日当たりの摂取量を算出して五分位で分類し、対象を5群に分けた。認知症予防に対する多変量ハザード比(HR)および95%信頼区間(CI)を算出するため、Cox比例ハザード回帰モデルを用いた。

新規抗体薬物複合体DS-7300、小細胞肺がんを対象とした第II相試験開始/第一三共

 第一三共は2022年7月21日、DS-7300(B7-H3を標的とした抗体薬物複合体[ADC])について、前治療歴のある進展型小細胞肺がん患者を対象とした第II相臨床試験の最初の患者への投与を開始したと発表。  同試験は、化学療法による前治療歴のある進展型小細胞肺がん患者を対象に、同剤の有効性と安全性を評価するグローバル第II相臨床試験である。 主要評価項目は客観的奏効率で、副次評価項目には無増悪生存期間、奏効期間、全生存期間、病勢コントロール率、薬物動態、安全性などで、アジア、欧州および北米で約80例の患者を登録する予定だという。

コロナ・インフルワクチン同時接種可、オミクロン株対応ワクチン秋以降に導入へ/厚労省

 これまで新型コロナワクチンの接種は他のワクチン接種と13日以上の間隔を空けて実施することとされていたが、知見等の蓄積をふまえ、インフルエンザワクチンに関しては同時接種も可能とすることが、7月22日に開催された第33回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会で了承された。同会ではそのほか、オミクロン株対応ワクチンの接種や4回目接種の対象者拡大等についても議論された。 <同時接種の有効性> ファイザー社・アストラゼネカ社:2回目接種において、ファイザー社またはアストラゼネカ社ワクチン単独接種と比べ、新型コロナウイルス抗スパイクIgG抗体価は有意差がなかった。さらにファイザー社ワクチンとの同時接種においてインフルエンザの一部の株に対するHI抗体価の上昇がみられた。

ICI耐性の非小細胞肺がんに対するラムシルマブ+ペムブロリズマブの2次治療(Lung-MAP S1800A)/JCO

 免疫チェックポイント阻害薬(ICI)耐性となった進行非小細胞肺がん(NSCLC)に対し、ラムシルマブとペムブロリズマブの併用による2次治療が有望な成績を示した。  進行NSCLCにおけるICI耐性後の2次治療は化学療法だけであり、今もなお大きなアンメットニーズが残っている。一方、ICIとVEGF阻害薬の併用は、複数のがん種で有望な結果が得られている。ドライバー変異のないICI耐性NSCLCの2次治療に、ICIであるペムブロリズマブとVEGF阻害薬であるラムシルマブの併用を化学療法と比較したLung-MAP S1800Aが行われた。結果は米国臨床がん学会年次集会(ASCO2022)で発表され、同時にJournal of Clinical Oncology誌に掲載された。

うつ病に対するACT介入~メタ解析

 急性期うつ病の治療において、アクセプタンス&コミットメント・セラピー(ACT)の有効性が報告されている。しかし、ACTを個別、グループ、インターネットで効果的に提供する方法やこれらを組み合わせた提供方法については、よくわかっていない。中国・北京大学のYue Sun氏らは、ACTの最も効果的な提供方法を検討するため、ネットワークメタ解析を実施した。その結果、抑うつ症状に対するACT介入は、個別、グループ、インターネットのいずれにおいても効果的であることが示唆された。著者らは、ACTをさまざまな方法で提供することにより、多様な患者集団に対してACTを実践、普及することが容易になると報告している。Journal of Affective Disorders誌オンライン版2022年6月25日号の報告。

サル痘感染拡大、4~6月に感染した528例の特徴/NEJM

 2022年4月以降、欧米を中心にサル痘感染が広がっている。7月23日にはWHOが緊急事態を宣言し、日本でも7月25日に感染者が確認された。今回、英国・Queen Mary University of LondonのJohn P. Thornhill氏らの国際共同研究グループ(SHARE-net Clinical Group)が、2022年4月27日~6月24日に16ヵ国43施設でPCR検査によりサル痘と確認・診断された528例について、症状、臨床経過、転帰を調査した結果を報告した。NEJM誌オンライン版2022年7月22日号に掲載。