抗精神病薬の初期の臨床効果が、その後の治療アウトカムにどの程度影響を及ぼすかは、明らかになっていない。中国・West China Hospital of Sichuan UniversityのYiguo Tang氏らは、2週時点での抗精神病薬の有効性が、6週時点の治療反応を予測できるかを評価した。また、治療反応の予測が、抗精神病薬や精神症状の違いにより異なるかも検討した。その結果、抗精神病薬治療2週時点でのPANSS合計スコアの減少率や精神症状の改善は、6週時点の臨床的な治療反応を予測することが示された。Current Neuropharmacology誌オンライン版2022年11月18日号の報告。
統合失調症患者3,010例を対象に、ランダム化比較試験(RCT)を実施した。対象患者を、5種類の非定型抗精神病薬(リスペリドン:2~6mg/日、オランザピン:5~20mg/日、クエチアピン:400~750mg/日、アリピプラゾール:10~30mg/日、ziprasidone:80~160mg/日)および2つの定型抗精神病薬(ペルフェナジン:20~60mg/日、ハロペリドール:6~20mg/日)のいずれかにランダムに割り付け、6週間の治療を行った。初期有効性の定義として、2週時点での陽性・陰性症状評価尺度(PANSS)合計スコアの減少率を用いた。分析には、50%減少のカットオフ値、ロジスティック回帰、ROC解析、ランダムフォレストを用いた。
主な結果は以下のとおり。
・7種類の抗精神病薬治療による2週時点でのPANSS合計スコアの減少率および精神症状の改善は、その後の治療反応を予測可能であった。
・とくに、妄想、判断力と洞察力の欠如、思考内容の異常、猜疑心/迫害感が重要な指標である可能性が示唆された。
(鷹野 敦夫)