医療一般|page:182

医療者における毎日の手指消毒剤、皮膚バリアへの影響は?

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)パンデミックにおいて、アルコールベースの手指消毒剤(ABHS)を用いて毎日行う手洗いは、皮膚バリアの破壊率が低く、バクテリアや真菌のコロニー形成単位(CFU)数も低値であることが示された。  スペイン・Virgen de las Nieves University HospitalのTrinidad Montero-Vilchez氏らが、水とせっけん、ABHS、除菌シートを比較した無作為化試験の結果を報告した。COVID-19により手洗いの頻度は増したが、臨床におけるさまざまな手指衛生の皮膚バリア機能への影響に関するエビデンスは不足していた。Contact Dermatitis誌オンライン版2021年12月25日号掲載の報告。

新型コロナ、スーパースプレッダーとなりうる人の特徴/東京医科歯科大

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)では、すべての患者が等しく感染を広げるのではなく、高いウイルスコピー数をもつ特定の患者がとくに感染を広げていくことが知られる。東京医科歯科大学の藤原 武男氏らによるRT-PCR検査によるウイルスコピー数を用いたCOVID-19入院患者の後ろ向き解析の結果、3つ以上の疾患の既往歴および、糖尿病、関節リウマチ、脳卒中の既往がスーパースプレッダーのリスク因子となることが示唆された。Journal of Infection誌オンライン版2021年12月30日号にレターとして掲載の報告より。  2020年3月~2021年6月に、中等症から重症のCOVID-19で東京医科歯科大学病院に入院し、少なくとも1回以上RT-PCR検査が行われた患者が解析対象とされた。入院患者の電子カルテの情報を基に、高血圧・糖尿病・脂質異常症・高尿酸血症・関節リウマチ・がん・慢性腎不全・脳卒中・心疾患・呼吸器疾患・アレルギーといった基礎疾患の有無とウイルスコピー数について関連が調査された。  主な結果は以下の通り。

ファイザーとモデルナが相次ぎ発表、オミクロン特化ワクチンの臨床試験開始

 依然、世界で拡大傾向が続く新型コロナウイルスのオミクロン株を巡り、コロナワクチンを手掛けるファイザー社とモデルナ社が、相次いでオミクロン株に特化した新たなワクチンの臨床試験の開始を発表した。  米国・ファイザー社が発表した1月25日付のプレスリリースによると、臨床試験は、18~55歳の最大1,420例を3つのコホートに分けて実施。コホート1(n=615)は、90~180日前に、既存のファイザー製ワクチンを2回接種した被験者。コホート2(n=600)は、90~180日前に、既存ワクチンを3回接種した被験者。これらのグループに対し、既存ワクチンまたはオミクロン株に特化した新規ワクチンを1回投与する。

軽症でのレムデシビル投与を追記、コロナ診療の手引き6.2版/厚労省

 1月27日、厚生労働省は「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)診療の手引き 第6.2版」を公開し、全国の自治体に通知を行った。  6.2版の主な改訂点は以下の通り。 ●改訂点 【1 病原体・疫学】 ・オミクロン株について更新 ・国内・海外発生状況を更新 【4 重症度分類とマネジメント】 ・重症度別マネジメントのまとめを更新 ・軽症、中等症Iについて更新  重症化リスクのある患者へのレムデシビル・モルヌピラビル・中和抗体薬投与について追加

せん妄予防に対するラメルテオン+スボレキサントの有効性~メタ解析

 せん妄は、重篤な神経性行動を有する症候群であり、長期入院や有病率、死亡率の増加と関連している。中国・南方医科大学のYu Tian氏らは、高齢入院患者のせん妄に対するラメルテオンの有無にかかわらないスボレキサントの予防効果を明らかにするため、システマティックレビューおよびメタ解析を実施した。Psychogeriatrics誌オンライン版2021年12月8日号の報告。  各データベース(PubMed、Cochrane Library、Web of Science、EMBASE、EBSCOhostデータベース)より、成人入院患者のせん妄に対するラメルテオンの有無にかかわらないスボレキサントの有効性を調査したすべてのランダム化比較試験(RCT)、ケースコントロール研究、コホート研究を検索し、システマティックレビューおよびメタ解析を実施した。主要アウトカムは、せん妄の発生率とした。

2021年に注目された記事は?「ベストPicker アワード」発表

 ケアネットが運営する、オンコロジーを中心とした医療情報キュレーションサイト「Doctors'Picks」(医師会員限定)は、2021年にサイト上で最も活躍した医師を表彰する「2021年 ベストPicker アワード」を発表した。投稿(Pick)数と他ユーザーからの評価を足した指標を基に毎年行っているもので、2021年に表彰された5名の医師と受賞コメントは以下のとおりとなっている。 ◆田中 希宇人氏(日本鋼管病院)  このたびは「ケアネットDoctors'Picks 2021年ベストPicker」を頂きまして誠に嬉しく思います。昨年もコロナで日常診療も私生活も相当制限された1年でした。このような世界的パンデミック下だからこそ正確で効率的な情報収集と分かりやすい情報発信の重要性を改めて認識することになりました。2022年は新しいことにもチャレンジしつつ、ケアネットさんとも一緒にこれからの令和の医療の発展に引き続き尽力していきたいと思っています。

COVID-19治療薬の特徴一覧を追加、薬物治療の考え方12版/日本感染症学会

 日本感染症学会(理事長:四柳 宏氏[東京大学医学部教授])は、1月24日に新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の治療薬について指針として「COVID-19に対する薬物治療の考え方第12版」をまとめ、同会のホームページで公開した。  今回の改訂では、適用・効果の追加承認がなされたトシリズマブ(商品名:アクテムラ)に関する記載が追加されたほか、他の治療薬の知見を更新し、現在使用できる治療薬4剤の特徴を記した一覧表が附表として追加された。

慢性不眠症患者のベンゾジアゼピン中止に対する意思決定ツールの受容性

 聖路加国際大学の青木 裕見氏らは、ベンゾジアゼピン(BZD)およびベンゾジアゼピン受容体アゴニスト(BZRA)睡眠薬の中止を考慮した(中止する場合、不眠症に対する認知行動療法[CBT-I]の有無にかかわらず漸減)、慢性不眠症患者に対する意思決定支援ツールの開発およびその受容性について評価を行った。Neuropsychopharmacology Reports誌オンライン版2021年11月22日号の報告。  慢性不眠症に関連する文献を確認し、オプションの特定を行った。すでに実施されたシステマティックレビューおよびメタ解析の結果を用いて、BZD/BZRA睡眠薬の中止における2つのオプション(漸減のみによる中止、CBT-Iを用いた段階的な漸減)に関連するアウトカムを決定した。次に、国際基準(IPDAS)に従い意思決定支援ツールのプロトタイプを開発した。患者および医療提供者における受容性を評価するため、混合研究法を用いた。

CAR-T ide-cel、多発性骨髄腫に国内承認/BMS

 ブリストル・マイヤーズ スクイブは、2022年1月20日、B細胞成熟抗原(BCMA)を標的とするCAR T細胞療法イデカブタゲン ビクルユーセル(製品名:アベクマ)について、再発又は難治性の多発性骨髄腫を対象とした再生医療等製品製造販売承認を取得した。再発又は難治性の多発性骨髄腫を対象にしたCAR T療法の承認取得は今回が国内初。  今回の承認取得は、国際共同第II相試験(実施地域:日本・米国・欧州・カナダ)、ならびに海外第I相試験(実施地域:米国)で得られた有効性および安全性の結果に基づいている。

KRAS G12C変異の非小細胞肺がんにソトラシブ国内承認/アムジェン

 アムジェンは、2022年1月20日、KRASG12C阻害薬ソトラシブ(製品名:ルマケラス)について、がん化学療法後に増悪したKRASG12C変異陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺がんの効能・効果で、日本における製造販売承認を取得した。  日本における製造販売承認は国際共同第I/II相多施設共同単群非盲検試験(CodeBreaK100試験)の結果に基づいたもの。同試験の第II相パートでは、非小細胞肺がん(NSCLC)患者126例(日本人11例を含む)を対象に、ソトラシブ960mgが1日1回経口投与され、主要評価項目である奏効率は、有効性評価対象123例で37.4%であった。

治療抵抗性片頭痛患者に対するフレマネズマブの有効性~年齢や性別の影響

 片頭痛の有病率は、年齢や性別により異なり、成人初期および中年の女性でとくに高いが、男性やすべての年齢の成人においても片頭痛の問題を抱えている人は少なくない。そのため、性別や年齢を超えた片頭痛予防薬の有用性を理解することは重要である。既存の片頭痛予防の2~4つのクラスを用いた治療が奏効しなかった反復性および慢性片頭痛成人患者を対象としたランダム化プラセボ対照二重盲検比較試験である第IIIb相FOCUS試験において、ヒト化モノクローナル抗体フレマネズマブの安全性、有効性は明らかとなった。オランダ・エラスムス大学ロッテルダムのAntoinette MaassenVanDenBrink氏らは、FOCUS試験参加者を年齢および性別でサブグループ化し、フレマネズマブの有効性を評価した。The Journal of Headache and Pain誌2021年12月18日号の報告。

日本における統合失調症急性期入院患者に対する抗精神病薬治療の有効性

 順天堂大学の八田 耕太郎氏らは、統合失調症患者に対する長時間作用型持続性注射剤(LAI)と抗精神病薬の多剤併用(クロザピンを含まない)の実臨床における有効性の比較を行った。Asian Journal of Psychiatry誌オンライン版2021年11月6日号の報告。  日本の精神科救急病院12施設において、19ヵ月間のプロスペクティブ研究を実施した。対象は、DSM-Vで定義される統合失調症およびその他の精神病性障害の急性発症または悪化のために、2019年9月~2020年3月に精神科救急病棟に新たに入院した患者。すべての患者を退院後1年間または2021年3月31日までフォローアップを行った。主要アウトカムは、治療失敗リスク(精神科再入院、治療薬使用の中止、死亡、1年間の入院継続)とした。分析は、Cox比例ハザード多変量回帰を用いた。

コロナ疑似症患者の扱いは?感染状況に応じた外来診療の考え方/厚労省

 オミクロン株への急速な置き換わりが進み、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染が急拡大する中、一部地域ではすでに発熱外来の電話がつながらない、予約が取れないといった状況が生じている。そのような状況を鑑み、厚生労働省では1月24日に事務連絡を発出。「診療・検査医療機関への受診に一定の時間を要する状況となっている等の場合」および「外来医療のひっ迫が想定される場合」に分けて、自治体(都道府県又は保健所設置市)の判断で行うことができる対応について示した。

軽度アルツハイマー病患者の安全運転に対するメマンチンの影響

 米国・フロリダアトランティック大学のPeter J. Holland氏らは、軽度アルツハイマー病患者の安全運転能力の維持に対するメマンチンの潜在的な有効性を評価するために、プラセボ対照二重盲検比較試験の実現可能性を判断する目的でパイロット研究を実施した。Canadian Geriatrics Journal誌2021年12月1日号の報告。  スクリーニング基準を満たした60歳以上の軽度アルツハイマー病患者43例を対象に、メマンチン群22例と対照群21例にランダム化を行った。運転能力の評価には、標準化された路上運転免許試験を用いた。アウトカムは、6、12ヵ月時点の運転能力と12ヵ月間の路上試験完了率とした。

ゲフィチニブの非小細胞肺がんアジュバント、DFSとOSの結果(IMPACT)/JCO

 近年、非小細胞肺がん(NSCLC)のアジュバント療法として、免疫チェックポイント阻害薬や分子標的薬を使用したさまざまな臨床試験が実施されている。  このたび、吹田徳洲会病院の多田 弘人氏らが、アジュバント療法におけるゲフィチニブの有効性を検討した国内臨床試験、IMPACT試験の結果をJournal of Clinical Oncology誌2022年1月20日号で報告した。  IMPACT試験は、EGFR変異陽性患者に対する標準的なアジュバント療法であるシスプラチン+ビノレルビン療法を対照としたゲフィチニブのランダム化比較第III相試験であり、WJOG(西日本がん研究機構)が実施した。

重症コロナ肺炎治療薬にトシリズマブを承認/厚労省

 厚生労働省は1月21日、関節リウマチ治療薬トシリズマブ(商品名:アクテムラ)について、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に関する効能・効果の追加を承認した。SARS-CoV-2による肺炎で、酸素投与、人工呼吸器管理またはECMOが必要な患者に限り、入院下で治療投与できる。  トシリズマブは、炎症性サイトカインの一種であるIL-6の作用を阻害する働きを持つ、中外製薬創製の国産初の抗体医薬品。国内では2005年6月に販売を開始し、点滴静注用製剤では関節リウマチなど6つの適応症、皮下注製剤では3つの適応症で承認を取得している。

日本人双極性障害外来患者に対する処方パターン~I型とII型の違い

 双極I型障害(BD-I)および双極II型障害(BD-II)患者に対する向精神薬の使用に関して、入手可能なエビデンスは限られている。獨協医科大学の篠崎 將貴氏らは、BD-IおよびBD-IIの外来患者に対する薬物療法、とくに抗うつ薬の使用に関して、その特徴を調査した。Asian Journal of Psychiatry誌オンライン版2021年11月23日号の報告。  2017年に実施された日本の精神科クリニックにおける双極性障害の多施設治療調査(MUSUBI研究)に参加したBD-IまたはBD-IIの外来患者2,774例を対象に、現在の精神状態、治療薬およびその他の要因に関するデータを収集した。

ファイザー製コロナワクチン、5~11歳への接種を承認/厚労省

 厚生労働省は1月21日、ファイザー製の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)ワクチンについて、用法・用量が異なる「コミナティ筋注 5~11歳用」の製造・販売を特例承認した。オミクロン株が急拡大し、新型コロナの収束の兆しが見えない中、欧米諸国でも小児へのワクチン接種に踏み切る動きがある。国内における接種開始は3月以降になる見通しだ。  今回承認された「コミナティ筋注 5~11歳用」は、12歳以上に使用されている従来製品との相違点がいくつかあるので注意が必要だ。

認知症者の自動運転車の利用~ケアパートナーからの視点

 自動車の運転をやめさせることは、認知症高齢者の感情や健康に重大な影響を及ぼす可能性があり、このことはケアパートナーである家族にとっても問題となる。自動車の自動運転化は、認知症高齢者やケアパートナーにとって、自動車の運転を停止することやそれに伴う悪影響を緩和するうえで役立つ可能性がある。しかし、ケアパートナーを対象に認知症高齢者の自動運転車利用に対する考えを調査した研究は、これまで行われていなかった。カナダ・トロント大学のShabnam Haghzare氏らは、ケアパートナーの視点から、認知症高齢者における自動運転車の利用について、調査を行った。The Gerontologist誌オンライン版2021年11月19日号の報告。

小児へのCOVID-19ワクチン接種の考え方/日本小児科学会

 12歳以下の小児への新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のワクチン接種が、わが国でも検討されている中、日本小児科学会(会長:岡明[埼玉県立小児医療センター])の予防接種・感染症対策委員会は、同学会のホームページで「5~11歳小児への新型コロナワクチン接種に対する考え方」を発表した。  この考え方では、COVID-19の小児流行の現況を説明するとともに、小児へのワクチン接種について重症化予防への期待について記している。