医療一般|page:322

ivabradineのHFrEF患者への投与、日本人でも有用(J-SHIFT)/日本循環器学会

 慢性心不全では、高い心拍数が心血管系イベントの独立したリスク因子となる。既存薬による治療を行っても心拍数の高い患者において、HCN(Hyperpolarization-activated Cyclic Nucleotide-gated)チャネル阻害薬ivabradineの上乗せ投与の有用性・安全性が検証された。2019年3月29~31日に横浜で開催された、第83回日本循環器学会学術集会で、日本人HFrEF(左室駆出率が低下した心不全)患者を対象とした第III相J-SHIFT試験の結果を、九州大学大学院医学研究院循環器内科学 筒井 裕之氏が発表した。

ソーシャルロボットによる高齢者の認知機能検査の信頼性と受容性

 近年、人間とコミュニケーションを交わし生活をサポートするソーシャルロボットの開発が進んでいる。ソーシャルロボットは医療業界ではどのような活躍が期待できるであろうか。信州大学のTakaeda Kana氏らは、高齢者の認知機能検査へのアクセスを改善するため、ロボットを使った音声による検査の信頼性と受容性を検討した。Geriatrics & Gerontology International誌オンライン版2019年3月18日号に掲載。  本研究ではソーシャルロボットを用いて、老人ホームとデイケア施設から募集された参加者に対して電話を通した認知機能スクリーニングツールであるTelephone Interview for Cognitive Status日本語版を実施した。

体形とうつ病発症リスクとの関連

 肥満はうつ病と関連しているといわれている。肥満の一般的な指標としてBMIが用いられるが、BMIは身長と体重を組み合わせた指標である。そのため、体の寸法やサイズのどの部分が最も関連しているかはよくわかっていない。米国・トゥルーマン州立大学のJeffrey R. Vittengl氏は、体形とうつ病との関連について検討を行った。Journal of Affective Disorders誌オンライン版2019年3月5日号の報告。

こんなにある子供の便秘サイン

 2018年3月18日、EAファーマ株式会社は、「大人が知らない『子供の慢性便秘症』の実態と世界標準へと歩み出した最新治療~便秘難民ゼロを目指して~」をテーマに、都内でプレスセミナーを開催した。  セミナーでは、子供が抱える「言うに言えない便秘の悩み」に大人がどう気付き、診療へ導くのか解説された。セミナーでは、十河 剛氏(済生会横浜市東部病院小児肝臓消化器科)を講師に迎え、小児の便秘症について詳しくレクチャーを行った。

マイボーム腺機能不全とドライアイの類似・相違点が明らかに

 マイボーム腺機能不全(MGD)はドライアイ(DE)と症状が類似しており、鑑別が難しい疾患とされる。日本でMGDの啓発に取り組むLIME(Lid and meibomian gland working group)研究会が、同一集団で両疾患を比較した初の住民ベース断面調査を実施。MGDとDEの類似性と相違性を明らかにした。同研究会代表世話人であり伊藤医院副院長の有田 玲子氏らによる報告は、American Journal of Ophthalmology誌オンライン版2019年3月6日号で発表された。

病棟患者のせん妄、ICU患者との違い

 入院患者ではせん妄がよくみられるが、その疫学はほとんどわかっていない。今回、オーストラリア・オースチン病院のEmmanuel Canet氏らは、病棟患者におけるせん妄患者の人口統計、臨床像、管理、アウトカムがICU患者と異なるかどうかを検証した。その結果、病棟患者のせん妄は、ICU患者のせん妄とは大きく異なり、臨床像は低活動型が優勢で、認知症が先行し、退院時に回復の可能性は低いことが示された。Internal Medicine Journal誌オンライン版2019年3月19日号に掲載。

1990~2016年の世界のてんかん負荷調査の分析結果

 てんかんによる発作やその影響は、早期死亡や残存症状などの健康被害の原因となりうる。てんかんの負荷に関するデータは、健康管理計画やリソース配分において必要とされている。世界の疾病負荷(Global Burden of Disease:GBD)2016のてんかん共同研究者らは、てんかんによる健康被害を年齢、性別、年、場所別に定量化することを目的に、GBDのデータを用いて分析を行った。The Lancet. Neurology誌2019年4月号の報告。

心房細動の男性、脳卒中なしでも認知症に注意

 心房細動は脳卒中リスクを増大させ、認知障害や認知症のリスクを増大させる。しかし最近、脳卒中でない場合でもこの関連を示唆するエビデンスが出てきている。そこで、スウェーデン・ヨーテボリ大学のLina Ryden氏らは、コホートから脳卒中患者を除外しなかった場合とした場合の心房細動と認知症発症との関連を調査し、さらに性別や遺伝的因子についても検討した。Journal of Internal Medicine誌オンライン版2019年3月2日号に掲載。

統合失調症入院患者における心血管イベント

 レバノン大学のGhina Al-Seddik氏らは、統合失調症患者における心血管(CV)および脳血管イベントと死亡率を評価するため、フラミンガムリスクスコア(FRS)および動脈硬化性疾患(ASCVD)のスコアによる予測能について比較を行った。International Journal of Psychiatry in Clinical Practice誌オンライン版2019年2月10日号の報告。  対象は、2013年1月から入院中の統合失調症患者329例。CVイベントを検出するため患者のカルテをレビューした。

良性の卵巣腫瘍、保存的治療2年で自然消退2割、悪性化リスクは低い/Lancet Oncol

 付属器腫瘤は、産婦人科において最も頻繁に遭遇する疾患の1つといわれる。これまで長期追跡した大規模前向き研究はほとんどなかったが、ベルギー・ルーベン大学病院のWouter Froyman氏らが、国際共同前向きコホート研究「International Ovarian Tumor Analysis Phase 5:IOTA5」の中間解析を行い、超音波検査で最初に良性と診断された付属器腫瘤を保存的に治療しても悪性腫瘍や急性合併症の発生リスクは低いと報告した。

JCS2019で日循公式ツイッターが全力発信 #19JCSでタグ付けを

 2019年3月29~31日にパシフィコ横浜にて開催される、第83回日本循環器学会学術集会(JCS2019)において、日本循環器学会 情報広報部会は、公式ツイッターアカウントを活用した情報発信を行うと発表した。  欧州心臓病学会(ESC)や米国心臓協会(AHA)などの海外の主要な学会では、SNS上でタイムリーな情報発信が行われ、多くの人が最新の医学知識に触れて、勉強・議論できる体制が整えられている。日本の学会における情報発信の先駆けとして、JCS2019にて行われる発表内容をツイッター上でオープンに発信していくのが今回の試みだ。

日本の頭部外傷の実態/脳神経外傷学会

 日本の頭部外傷診療の現状の把握を目的に、1998年より重症頭部外傷患者を対象とした疫学研究を開始。現在まで、日本頭部外傷データバンク(JNTDB)Projectとして1998、2004、2009、2015が行われ、Project2015(P2015)の結果がまとまり、第42回日本脳神経外傷学会にて、その結果が報告された。P2015の登録対象症例は2015年4月1日~2017年3月31日に、搬入時あるいは受傷後48時間以内にGlasgow Coma Scale(GCS)8以下、あるいは脳神経外科手術を施行した頭部外傷症例(0歳を含む全年齢)。Project2015の参加施設は32施設1,345例が登録された。

前立腺がん患者のQOL、性機能とADTの影響に配慮を/Lancet Oncol

 昨今の医療のトピックに「治す医療から支える医療へ」がある。英国・リーズ大学のAmy Downing氏らは集団ベース研究により、進行前立腺がん患者と限局性前立腺がん患者とで、健康関連QOLアウトカムは大きく異なってはいないが、アンドロゲン除去療法を受けた患者ではホルモン機能と疲労に関してかなりの問題を抱えていることを明らかにした。著者は、「性機能障害がよくみられるものの、ほとんどの男性は有益な介入や支援を提供されていない。

統合失調症または双極性障害患者における死亡率の傾向

 重度の精神疾患を有する患者の平均寿命は、一般人口と比較し、1~20年短縮するといわれているが、その多くは身体疾患によって命が失われている。重度の精神疾患に関する大部分の研究では、疾患ごと(たとえば統合失調症と双極性障害)に調査が行われており、母集団に対する死亡率の観点から疾患を比較してはいなかった。デンマーク・オールボー大学のLine Hosbond Lomholt氏らは、統合失調症患者と双極性障害患者の標準化死亡比(SMR)の比較を行った。International Journal of Bipolar Disorders誌2019年3月1日号の報告。

日本の再生医療を世界で勝たせるために/再生医療学会

 本年(2019年)3月に行われた第18回日本再生医療学会総会の中で、外科医でもある衆議院議員 厚生労働委員長の冨岡 勉氏は「再生医療を推進するために政治はどう取り組むべきか」と題して基調講演を行った。  世界時価総額ランキング上位20社中、1989年における日本企業は14社を占めた。しかし、2018年その数はゼロ。ほぼ米・中の争いである。研究の活性化指標である論文数の国別順位と国別論文シェアをみると、ゲノム編集、免疫療法、核酸医薬などがんゲノムに関連のテーマでわが国は上位にあるものの、その分野でも1位は米・中である。

国内初のCAR-T「キムリア」が承認/ノバルティス

 ノバルティス ファーマ株式会社は、2019年3月26日、「再発又は難治性のCD19陽性のB細胞性急性リンパ芽球性白血病(B-ALL)および再発又は難治性のCD19陽性のびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)」を対象として、国内で初となるキメラ抗原受容体T細胞(CAR-T細胞)療法チサゲンレクルユーセル(商品名:キムリア)の製造販売承認を取得しました。  チサゲンレクルユーセルは、患者自身のT細胞を遺伝子導入により改変し、体内に戻すことで、CD19発現B細胞性の腫瘍(B-ALLとDLBCL)を認識して攻撃する新しいがん免疫細胞療法。チサゲンレクルユーセルによる治療は、継続的な投与を必要とせず、投与は一度のみとなる(単回投与)。

認知症高齢者における入院前後の抗コリン作用性負荷

 ドイツ・ライプニッツ予防研究疫学研究所のJonas Reinold氏らは、認知症高齢者における入院中の抗精神病薬と抗コリン作用薬の使用変化を評価し、抗精神病薬処方と抗コリン作用性負荷(ACB)の増加に関連する因子について検討を行った。International Journal of Geriatric Psychiatry誌オンライン版2019年2月13日号の報告。  2012~14年にイタリア・ウディネ大学病院に入院した認知症患者のうち、退院時診断を受けた65歳以上の患者を対象に、レトロスペクティブコホート研究を実施した。

アパルタミド、前立腺がんで国内承認/ヤンセン

 ヤンセンファーマ株式会社は、2019年3月26日、前立腺がん治療薬アパルタミド(商品名:アーリーダ)について、「遠隔転移を有しない去勢抵抗性前立腺癌」を効能・効果とする製造販売承認を取得したと発表。  遠隔転移を有しない去勢抵抗性前立腺がん患者を対象に、アンドロゲン除去療法(ADT)・アパルタミド併用群(アパルタミド群)とADT・プラセボ群(プラセボ群)を比較した第III相臨床SPARTAN試験では、アパルタミド群の無転移生存期間(MFS)中央値40.51ヵ月に対、プラセボ群では15.70ヵ月、とアパルタミド群で有意に改善した(HR:0.297、95%CI:0.244~0.362、p<0.0001)。

日本人の食事摂取基準2020年版、フレイルが追加/厚労省

 2019年3月22日、厚生労働省は「日本人の食事摂取基準(2020年版)」の報告書とりまとめを了承した。昨年4月より策定検討会にて議論が重ねられた今回の食事摂取基準は、2020年~2024年までの使用が予定されている。策定検討会の構成員には、日本糖尿病学会の理事を務める宇都宮 一典氏や日本腎臓学会理事長の柏原 直樹氏らが含まれている。

太田母斑のレーザー治療、ピコ秒アレキサンドライトが有用

 皮膚科のレーザー治療法では、技術の進展により種々のレーザー法が登場し、ナノ(1/10億)秒パルスのQスイッチレーザーに次いで、パルス幅の短いピコ(1/1兆)秒レーザーが臨床で用いられつつある。また、ピコ秒アレキサンドライトレーザー(PSAL)はさまざまな色素異常症に利用されているが、太田母斑についてQスイッチアレキサンドライトレーザー(QSAL)との直接比較データは限られている。